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肥満における腸内細菌叢:プレバイオティクスとプロバイオティクスの効果

Targeting gut microbiota in obesity: effects of prebiotics and probiotics.

Delzenne NM, Neyrinck AM, Bäckhed F, Cani PD.

Nat Rev Endocrinol. 2011 Aug 9 published online.

【総説内容】
ヒト腸管には10の14乗個の細菌が生息しており、その種類は1,000~1,150種類と言われている。細菌のcoding sequence(metagenomeと呼ぶ)の解析により、ヒトやマウスの腸内細菌として多いのはBacteroidetes、Firmicutes、Actinobacteriaであり、肥満ではFirmicutesが増え、Bacteroidetesが減ることが示されている。高脂肪食にすると24時間後には Erysipelotrichi (Firmicutes 門)が増加する。

腸内細菌叢は、消化管からのエネルギー吸収を促進する作用がある。肥満では、炭水化物発酵の容量が増加し、短鎖脂肪酸(酢酸、プロピオン酸、酪酸、L-乳酸)の増加によりエネルギー吸収効率が上がっている。短鎖脂肪酸は特異的受容体GPR41、GPR43に結合し、それぞれ消化管ホルモンPYYの分泌や脂肪組織の増加に働いている。さらに、腸内細菌叢はAngptl4の発現に関与している。Angptl4の発現が増加すると、脂肪組織でのLPL活性が低下し(Angptl4は強力なLPL inhibitorである)、脂肪蓄積が減少する。
高脂肪食による肥満・糖尿病の発症には、グラム陰性菌細胞壁の構成要素であるLPS(lipopolysaccharide)が重要な役割を果たしている(「metabolic endotoxemia」の状態)。この状態では腸管のendocannabinoid系が亢進しており、腸管の透過性亢進を招き、全身性の炎症を引き起こす。また、SAA3(serum amyloid A3 protein)も高脂肪食によって増加し、炎症・インスリン抵抗性のメディエーターになっている。

プレバイオティクス(注:上部消化管で分解されず、腸管内で生体に有利な細菌の増殖を促進する物質)の概念は1995年に提唱され、inulin-type fructans投与によりBifidobacteria(Bacteroidetes門)が増加することが示された。この増加は数日で起こったが、このプレバイオティクス化合物を中止すると1週間でこの変化は消失した。

これに対し、プロバイオティクス(注:経口で腸内細菌叢に到達し、そのバランスを改善することにより生体に利益をもたらす生きた微生物)による治療が期待される。例えば、無菌マウスにLactobacillus paracaseiを単独投与すると、Angptl4が増加し脂肪量が減少する。ヒトに対するLactobacilli補充療法も行われているが、その効果は現在議論中の段階である。

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by md345797 | 2011-08-29 07:19 | その他