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閉ループ制御インスリン注入

Closed-loop insulin delivery: from bench to clinical practice.

Hovorka R.

Nat Rev Endocrinol. 2011 Feb 22;7(7):385-95.

【総説内容】
Closed-loopインスリン注入

この30年間、閉ループ制御インスリン注入(closed-loop insulin delivery)、いわゆる人工膵臓は、糖尿病治療の達成困難な最高の目標 (holy grail:聖杯) と考えられてきた。この装置は、持続グルコースモニター(CGM)とインスリン持続皮下注入(CSII)のコンポーネントが合わさったものであり、リアルタイムの組織液グルコースを測定し、アルゴリズムに基づいてインスリンを注入する。インスリン注入のアルゴリズムには2つあり、MPC(model predictive control)とPID (proportional-integral-derivative)制御による古典的フィードバック制御である。そのほかに、ファジー論理に基づくもの、MPCとPIDの両方によりインスリンとグルカゴンを注入するものがある。

Closed-loopインスリン注入の障壁となるもの
CGMでは組織液のグルコース値を測定するため、血糖値との間に時間差がある(DexComでは6分、Freestyle NavigatorとGuardianでは8-15分の時間差が報告されている)。また、センサーで測定したグルコース値と血糖値の間の偏差もある。さらに、インスリン皮下注入後の最大血糖低下は90‐120分後になるというインスリン吸収の問題、インスリン効果の個人間差の問題もある。食事・運動は血糖変動に影響するが、closed-loopシステムでは血糖だけ見てインスリンを投与するため、インスリン注入量の調整が必要となる。

性能の評価
Closed-loopシステムの性能を評価するのに最もよく用いられる基準は、「グルコースが目標範囲内に入っている時間」である。これは、空腹時またはovernightで3.9-8.0 mmol/l、食後で10.0 mmol/l以下とされる(注:それぞれ、70-144、180 mg/dl)。

Closed-loopインスリン注入の臨床研究
もっとも単純なclosed-loopシステムは、血糖が低値になったらインスリン注入を中止する形である。半数以上の重篤な低血糖は睡眠中に起きるため、また、食事と運動の影響がないため、1型糖尿病でのovernight closed-loopシステムの検討が進んでいる。さらに、食後にインスリンボーラス注入も行えるday-and-night closed-loopシステムが作られている。また、インスリン(MPCによる)注入に加え、グルカゴン(PID制御による)の注入により低血糖を防止するdual-hormone closed loopも報告されている。
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by md345797 | 2011-09-15 16:41 | その他