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インスリン感受性の遺伝的および環境的調節因子

Genetic and Environmental Modulators of Insulin Sensitivity

Juleen R. Zierath, Karolinska Institutet, Sweden

Keystone Symposia:Obesity Jan 31, 2012, Santa Fe.

このグループは、2型糖尿病患者において骨格筋PGC-1αのmRNA発現量はPGC-1αのプロモーターのDNAメチル化と負の相関があることを報告した。このDNAメチル化は、TNFαや遊離脂肪酸(FFA)の添加によって起こり、DNMT3B(DNA methyltransferase)のサイレンシングによって抑制された。TNFαやFFAは、骨格筋のDNMT3Bを活性化し、PGC-1αのプロモーターのDNAメチル化を起こしてPGC-1αの発現を減少させ、酸化的リン酸化遺伝子の発現を減少させて筋のインスリン抵抗性を惹起するというメカニズムが明らかになった。このように、DNAメチル化は、環境因子がインスリン感受性を調節するメカニズムの一つである。

① 肥満とDNAメチル化
胃バイパス(GBP)前後の8名の肥満女性の骨格筋におけるDNAメチル化を検討した。肥満女性では、代謝過程およびミトコンドリア機能に作用する遺伝子発現が変化していたが、減量後これらの変化は正常化した。解析した16の遺伝子のうち、8遺伝子のプロモーターメチル化が遺伝子発現と負の相関を、5遺伝子が正の相関を示した。PGC-1αのプロモーターのメチル化が肥満によって増加しておりPCG-1αmRNAは減少していたが、減量手術に伴っていずれも正常化した。PDK4(pyruvate dehydrogenase kinase 4)は、肥満によってプロモーターのメチル化が低下しており発現が増加していたが、減量手術によっていずれも正常化した。肥満およびGBPによる減量がepigenomeに動的な影響をもたらしていることが分かる。

② 運動とDNAメチル化
14名の運動量の少ない若年健常者に急性運動を行った後、骨格筋生検を行ったところ、全ゲノムのメチル化が減少していた。そのうち8名で運動量依存的にPGC-1α、TFAM、PDK4、PPARγの発現が増加し、それぞれのプロモーターのメチル化が著明に減少していた。同様に、マウスのヒラメ筋をex vivoで45分収縮させると、PGC-1α、PDK4、MEF2A、MYOD1のプロモーターメチル化が著明に減少した。L6 myotubeにカフェインを添加すると(Ca2+放出)、PGC-1αとPDK4でプロモーターのメチル化が減少、mRNA発現が増加した。

このように、環境要因(肥満と減量、運動)は、骨格筋において遺伝子のプロモーターDNAメチル化を動的に変化させ、それによって遺伝子発現も変化することが明らかになった。
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by md345797 | 2012-02-01 15:56 | その他