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先天的免疫細胞は脂肪組織の代謝を調節する

Innate Immune Cells Regulate Adipose Tissue Metabolism

Ajay Chawla, University of California, San Francisco, USA

Keystone Symposia:Pathogenesis of Diabetes Jan 31, 2012, Santa Fe.

マクロファージは、微小環境のさまざまな刺激を感知し、それらを統合し適切に反応するという多面的な役割を持っている。そのためにclassicalとalternativeという異なる活性化が行われている。このグループは、IL-4/IL-13が、組織マクロファージをalternative状態に分極化させるスイッチになることを示した。白色脂肪組織(WAT)マクロファージのalternative activationの障害は、高脂肪食に伴う代謝異常につながる。さらにWATでは、好酸球がIL-4を産生し、マクロファージのalternative activationに必要であることも明らかにした。(Science, 2011)

また、寒冷に対する反応(寒冷→脳→交感神経系→BAT→PGC-1α活性化→UCP1発現→熱産生)が、BATおよびWATのalternatively activated macrophageを介することを報告した(Nature, 2011)。

マウスを低温に曝露するとBATとWATでalternative activationが起きた(Arginase 1のmRNAの発現が増加)。IL-4/IL-13シグナルを欠損させたIl4-/-/Il13-/-マウスでは、寒冷刺激によるマクロファージのalternative activationが起きなかった。WTマウスでは、BATにおいて熱産生遺伝子(Ucp1)の発現増加が起きるが、Il4-/-/Il13-/-ではこの発現増加が減少していた。IL-4/IL-13シグナルを骨髄細胞で欠損させたマウス(マクロファージでIL-4シグナルが欠損しているマウス)を作製したところ、22℃と4℃でalternative activationが障害されていて、寒冷刺激による熱産生遺伝子の発現が障害された。

寒冷刺激により、WATにおけるβアドレナリンシグナルが遊離脂肪酸(FFA)の放出を促進し、その脂肪酸がBATで非共役呼吸(uncoupled respiration)の燃料になる。寒冷刺激では、WATマクロファージのalternative activationも障害されるため、FFAの放出も障害されているかを検討した。実際Il4-/-/Il13-/-マウスでは血中FFAが減少しており、それに伴いこれらのマウスではBAT組織像において脂肪蓄積が減少していた。alternatively activated macrophageは、WATから動員した遊離脂肪酸をBATでの熱産生に用いる調節をしている。

では上記の過程で、WAT/BATのマクロファージは、カテコラミン放出源として重要なのか?カテコラミン合成の律速酵素(tyrosine hydroxylase, Th)はマクロファージをIL-4刺激すると発現が誘導された。低温刺激によりThの発現は増加し、IL-4/IL-13シグナル欠損マウスではThの発現とノルアドレナリン量が低下していた。

Alternatively activated macrophagesは熱産生に必要である。さらに、alternatively activated macrophagesによるノルアドレナリン分泌が、WATとBATに作用して寒冷ストレスに対する生体反応を調節しているメカニズムも明らかになった。
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by md345797 | 2012-02-01 15:59 | その他