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白色脂肪組織における褐色脂肪細胞の消失は、加齢とインスリン抵抗性を結びつける新たなメカニズムである

Loss of brown adipocytes in white adipose tissue is a novel molecular link between aging and associated insulin resistance

Nicole H Rogers, Alejandro Landa, Roy G Smith.
Metabolism and Aging, The Scripps Research Institute.

Keystone Symposia:Pathogenesis of Diabetes Feb 1, 2012 (Poster 340)

加齢はインスリン抵抗性を亢進させるが、その分子メカニズムは不明である。腹腔内白色脂肪組織(WAT)の炎症性変化の重要性については知られているが、加齢に伴う皮下白色脂肪組織(sWAT)の変化についてはあまり分かっていない。sWATはエネルギー消費を行う褐色脂肪細胞(UCP1+)の亜集団を含むという特徴がある。

この研究では、加齢がC57Bl/6マウスの鼠径部sWATにどのような影響を与えるかについて検討した。RNAシークエンシングによって、若年(6週齢)と中年(1年齢)のマウスのsWATを比較し、加齢により褐色脂肪細胞に特異的な遺伝子(ucp1, cidea, cox7a1)の発現が減少することを明らかにした。定量的PCRおよび免疫染色によって、sWATの褐色様部位(脂肪滴が複眼様で、UCP1が発現)が3か月齢まで増加し、その後大きく消失することを示した。この褐色様部位は、3か月から12か月の間に減少し、白色脂肪の形態(脂肪滴が単眼様で、細胞質が非常に小さく、UCP1発現がない)が優位を示すようになる。この「褐色化」の消失は、sWATに特徴的であり、その結果、3か月齢のマウスのsWATは精巣上WATに比べて1300倍ucp1を発現しているが6か月齢では6倍でしかない。

1年間カロリー制限をした22.7gのマウスのsWATと、同年齢のカロリー制限をしなかった40.5gのマウスおよび3か月齢の22.7gの体重同一マウスを比較すると、カロリー制限によって体重増加を妨げても加齢によるucp1の大きい消失はほとんど減弱されなかった(カロリー制限は、加齢に伴う褐色化の消失に対しては役に立たなかった)。加齢により、褐色脂肪マーカー遺伝子発現の減少に加え、白色脂肪マーカー遺伝子の発現増加(lepが60倍、oxtr が270倍、 fgf13 が67倍、lipf が40倍)が認められた。

以上の結果から、(1)sWATにおける褐色脂肪細胞の消失は、新規加齢プログラムの一つであることが明らかになり、(2)WATの褐色化を調節するメカニズムを理解するモデルが得られた。これらは、全身の機能低下に先行する変化を示し、加齢に伴う2型糖尿病の病態理解に役立つと思われる。
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by md345797 | 2012-02-02 16:18 | その他