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PPARγ1のエピジェネティックなプログラミングは、肥満におけるマクロファージの極性化を調節する

Epigenetic programming of PPARgamma1 regulates macrophage polarization in obesity.

Xianfeng Wang, Hang Shi and Bingzhong Xue.
Wake Forest University School of Medicine.

Keystone Symposia:Pathogenesis of Diabetes Feb 2, 2012 (Poster 438)

肥満は、classically activated M1 adipose tissue macrophages (ATMs)の増加と、alternatively activated M2 ATMsの減少を伴っており、これが肥満に伴う炎症とインスリン抵抗性に寄与している。この根底にはエピジェネティックなメカニズムが重要な働きをしていると考えられる。この研究では、マクロファージに飽和脂肪酸(SFA)を添加するとDNA methyltransferases(DNMT1)の発現が有意に増加することを明らかにした。さらに炎症性サイトカインであるTNFαは肥満マウスから単離したATMsで高値を示すが、classically activated M1 ATMsに比べ、alternatively activated M2 ATMsでは発現が低い。

DNAメチル化を薬剤(5-aza-2'-deoxycytidine)によりまたは、遺伝的に(myeloid-specific DNMT1 knockout mice:MD1KO)から採取したマクロファージを用いて)阻害することにより、マクロファージの極性化をalternatively activated M2形質にすることができた(M2マクロファージのマーカーであるarginase I (ARG1), mannose receptor, Dectin-1, programmed cell death 1 ligand 2, interleukin 1 receptor antagonist, interleukin 10および、macrophage alternative activationを調節する転写因子PPARγ1の発現で確認)。その一方で、マクロファージにDNMT1を過剰発現すると、interleukin 4 (IL4)誘導性ARG1およびPPARγ1の発現が大きく抑制された。

PPARγ1のプロモーターおよび5'-untranslated regionsはCpG部位を多く含む。ステアリン酸とTNFαはPPARγ1の発現を有意に抑制するが、これは、5-メチルシチジンと、DNMT1のPPARγ1プロモーターへの結合、PPARγ1プロモーターDNAメチル化を増加させた。なお、MD1KOマウスは高脂肪食を負荷しても、体重は変化しないのにGTT、ITTにおいてインスリン感受性が亢進していた。

以上の結果より、DNAメチル化は、マクロファージの極性化の調節に重要な役割を果たしており、PPARγ1プロモーターのDNAメチル化を阻害することにより、マクロファージの極性化をalternatively activated M2形質に促進することができる。一方で、飽和脂肪酸やTNFαのような炎症性サイトカインはPPARγ1プロモーターのDNAメチル化を増加させ、マクロファージの極性化を障害し、肥満における炎症とインスリン抵抗性をもたらすと考えられる。
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by md345797 | 2012-02-03 06:17 | その他