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FGF21の代謝における多様な役割

Multiple Metabolic roles of FGF21

Eleftheria Maratos-Flier, Beth Israel Deaconess Medical Center

Keystone Symposia:Pathogenesis of Diabetes Feb 2, 2012, Santa Fe.

マウスに高脂肪食(HF)を負荷すると体重が増加するが、同じカロリーのケトン誘発食(ketogenic diet:KD)を負荷すると体重は減少する。マウスにHFとKDを負荷した場合に肝で発現が増減する遺伝子をAffimetrixのDNA microarrayでチェックしたところ、KDでFGF21の発現が大きく増加することが明らかになった。

肝におけるFGF21をadenovirusでノックダウンすると、KDで脂肪肝・TG増加をきたした。さらに、FGF21欠損マウスは、中程度の肥満、中程度の過食、耐糖能障害を示し、KDで肝重量が増加、脂肪滴増加が認められた。これらの結果から、FGF21は肝で発現し、肝をターゲットとし(肝のFRS2、ERK1/2リン酸化が増加)し、肝の脂質酸化を調節していると言える。

肥満マウスではFGF21の発現が多く、肥満では「FGF21抵抗性」があると考えられる。実際、肥満マウスにFGF21を投与した場合、肝でのERK1/2リン酸化は低下している。

また、FGF21は寒冷に対する熱産生に重要な役割を果たしている。寒冷条件下では、inguinal WATのFGF21発現は増加し、PGC-1αとUCP1の発現を増加させている(「brite」脂肪細胞に変化させている)。このとき血中FGF21濃度は変化していない。FGF21はhormonalではなく、WATにおいてautocrine様に局所で作用していると言える。FGF21欠損マウスは、野生型と違って、寒冷条件下で体幹温度が低下してしまう。これは、寒冷下でPGC-1α、UCP1の発現が少ない(すなわちbrite脂肪細胞への転換が少ない)ことによる。通常のマウスでも、3日間FGF21を注入すると、WATでUCP1およびBATマーカーの発現が認められ、寒冷条件に対するWATの褐色化が起こる。

以上の知見から、FGF21は古典的な「ホルモン」とは言えない。肝に注目するとhepatokineであり、WATを褐色化させるadipokineでもあり、いろいろな臓器で産生され作用するomnikineとでも言えるものである
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by md345797 | 2012-02-03 07:00 | その他