一人抄読会

syodokukai.exblog.jp
ブログトップ

Irs1のSerine/Threonineリン酸化によるインスリンシグナル伝達の調節

The Regulation of Insulin Signaling by Serine/Threonine Phosphorylation of Irs1

Morris F. White, Children's Hospital Boston

Keystone Symposia:Pathogenesis of Diabetes Feb 2, 2012, Santa Fe.

Irs1は、インスリン、炎症性サイトカイン、脂肪酸などによりSer/Thr残基がリン酸化される。Irs1のSer/Thrリン酸化は一般的にインスリン抵抗性に関連していることが分かっており、インスリン抵抗性のメカニズムの一つとなっている。Irs1には少なくとも30のSer/Thrリン酸化部位があり、インスリンシグナル伝達を調節しているが、生理的な状態でそのリン酸化を定量するのは困難であった。

そこで、このグループでは、30のSer/Thrリン酸化部位に特異的なモノクローナル抗体を作製した。これを用いて培養細胞(L6、CHO、FAO細胞)において、basalの各Ser/Thr部位のリン酸化およびインスリンによるリン酸化増加のtime courseを定量することができた(細胞の種類、各部位によってリン酸化の程度は異なっていた)。また、kinase阻害薬(PI3K、AKT、TOR、S6Kの各阻害剤)を用いて、インスリンによるSer/Thrリン酸化とTyrリン酸化に逆の関係があることが示された(どの部位のSer/Thrリン酸化がTyrリン酸化の低下とどの程度相関するかまで示された)。

特にIrs1のS302, S307, S325およびS346のリン酸化は、培養細胞においてtyrリン酸化と負の相関を示した。そこで、Ser307またはSer302をAlaに置換したノックインマウスを作製した。その結果、高脂肪食を負荷した307A/Aマウスは、コントロールマウスに比べ強いインスリン抵抗性を示した。さらに307S alleleをもつIrs1/Irs2肝臓ダブルノックアウト(LDKO)マウスは耐糖能正常であるが、307A alleleを持つものは耐糖能異常・インスリン抵抗性をきたした。一方、302A/Aマウスは302S/Sマウスと比較してIrs1 tyrリン酸化は同様であり、一つの302Aまたは302S alleleはいずれもLDKOマウスの耐糖能を回復した。したがって、Ser302のインスリンシグナルに対する効果は少なく、Ser307リン酸化はin vivoでは(培養細胞の実験結果と異なり)インスリン感受性を促進すると考えられた(Cell Metab, 2009)。
[PR]
by md345797 | 2012-02-03 18:46 | その他