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低ナトリウム血症

Hyponatremia.

Adrogué HJ, Madias NE.

N Engl J Med. 2000 May 25;342(21):1581-9.

【総説内容】
低ナトリウム血症(血清Na値 136 mmol/L以下)には、低張性(tonicityが低い(注1)もの)、等張性、高張性のものがある。この総説では、主に低張性低ナトリウム血症(hypotonic hyponatremia)について、原因、症状、管理について述べる。

注1:Tonicity(張度)はeffective osmolality(有効浸透圧)ともいわれ、細胞膜を浸透できない溶質(ナトリウム、グルコースなど)による浸透圧を指す言葉である。一方で尿素 (urea)のように細胞膜を自由に浸透できる溶質による浸透圧は、ineffective osmolalityと呼ばれtonicityには含まれない。


Ⅰ 低ナトリウム血症の原因
本総説で述べるhypotonic hyponatremia は、ナトリウム量に対し水が過剰になるために、細胞外液が希釈されて起きるものである(dilutional hyponatremia=希釈性低ナトリウム血症とも呼ぶ)。
水貯留の原因は、腎からの水排泄障害が最も多く、水の摂取過剰によるもの(心因性多飲、精神疾患に伴うADH過剰分泌)は少ない。

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(図1) 正常および低ナトリウム血症における、細胞外液・細胞内液コンパートメントの模式図

A 正常の状態では、細胞外液と細胞内液コンパートメントは体内総水分量の40%と60%を占めている。○はナトリウム、●はカリウム、大きい■はナトリウム以外の不浸透性の溶質、小さい■は浸透性の溶質を表す。真ん中の太い点線は細胞膜、細胞外液中で影になっている部分は血管内volumeを表す。

B SIADH (syndrome of inappropriate secretion of antidiuretic hormone)では、水の増加によって、細胞外および細胞内液が増加する。ナトリウム量は変わらないため、細胞外液の希釈によってhypotonic hyponatremiaになる。SIADHの原因は、脳神経障害(下垂体腫瘍、外傷、精神障害)、ADH産生腫瘍(特に肺癌)、薬物(desmopressinなど数多くの薬剤)、呼吸障害(肺炎など)がある。

C 腎不全では、細胞外液に尿素(urea, ここではBUNと表記)が増加する。BUNは細胞膜を浸透するため、細胞外・細胞内の両方にBUNが蓄積して、低浸透圧を伴わない低ナトリウム血症となる。この時、細胞外液にBUNが増加しても細胞外の有効浸透圧すなわちtonicityは増加しないため、hypotonic hyponatremiaが起きる。

D 高血糖では、細胞外液に細胞膜を浸透しない溶質(グルコース)が増加するため、細胞内液から細胞外液コンパートメントに水が移行して低ナトリウム血症を起こす。この場合の低ナトリウム血症は、hypertonic hyponatremia (高張性低ナトリウム血症=translocational hyponatremia、移行性低ナトリウム血症)である。細胞外は高張のため、細胞内は脱水になっていることに注意。血糖が100 mg/dl上昇するごとに血清Na濃度は約1.7 mmol/L低下する。

E 下痢でナトリウムが失われると、浸透圧維持のため細胞外液の水分量は減少する。(このとき減っている水分は細胞内液コンパートメントに移行している水分である。) 細胞外液水分量は、減少しているとはいえナトリウム減少に比べれば十分存在している(または十分以上存在している)ため、結果的にはhypotonic hyponatremiaとなる。ナトリウム喪失の原因は、下痢のほかに嘔吐、出血、発汗過多、’third space’へ水分が押しやられる(sequestration)などである。

F ネフローゼ症候群ではナトリウム貯留と水貯留が起こり、細胞外液と細胞内液の両方が増加する。しかしこの時、主に細胞外コンパートメントの水貯留が多いため、低ナトリウム血症になる。

G うっ血性心不全の利尿剤による治療中は、ナトリウム貯留とカリウム喪失が起こり、その結果、細胞内液が減少し、細胞外液が増加する。細胞外にナトリウム貯留が起こるが水排泄障害も起きているため、低ナトリウム血症になる。

その他の低ナトリウム血症は、
・Isotonic hyponatremia(等張性低ナトリウム血症): 細胞外にナトリウムを含まない等張液(等張マンニトールなど)が大量に存在すると、細胞内から水の移行を伴わないが低ナトリウム血症となる。
・Pseudohyponatremia(偽性低ナトリウム血症): 高度の高トリグリセリド血症および単クローン性γ-グロブリン血症(paraproteinemia)では、血漿中に固体の成分(脂質や蛋白)が多いために、フレーム発光分光分析法による測定ではナトリウム濃度が低下しているように測定されてしまう。


Ⅱ 低ナトリウム血症の臨床所見
=(1)低張による「脳浮腫」の危険と、(2)急速治療に伴う「浸透圧性脱髄症候群」の危険

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(図2)脳に対する低ナトリウム血症の影響と、それに対する脳の適応反応
低ナトリウム血症のために細胞外液がhypotonic (低張)になると、数分以内に、水が脳細胞内に移行するために脳の(細胞内液)浸透圧(brain osmolality)が低下し、脳浮腫を生じる。

その後、急性の適応(rapid adaptation)として、数時間以内に電解質が脳細胞から流出して、拡大した脳の容量は部分的に縮小する。さらに遅い適応(slow adaptation)として、数日以内に有機浸透圧物質が流出することによって脳の容量は完全に回復する。

このようにして脳の容量が正常化しても、脳の低浸透圧はまだ残っている。このとき、低張性低ナトリウム血症をゆっくり補正(slow correction of the hypotonic state)すれば、脳を正常浸透圧に戻すことができる。しかしここで、低ナトリウム血症を急激に補正(rapid correction of the hypotonic state)すると、脳が低張のまま細胞外液が急に高張になるため脳の細胞内脱水を起こし、浸透圧性脱髄症候群(osmotic demyelination)という不可逆的な脳障害を起こす。


(1) Hypotonic hyponatremiaの主な臨床症状は、脳細胞への水の移行による脳浮腫である。脳の拡大は頭蓋骨によって制限されているため、頭蓋内圧亢進により脳障害を起こす。血清Na濃度の低下が急速(数時間以内)で大きい時はこのような現象が起きる。脳浮腫の症状は、頭痛、悪心嘔吐、筋痙攣、無気力、不穏、見当識障害、抑うつなどである。Na 125 mmol/L以下の低ナトリウム血症が急速に起きた場合に症状が出ることが多く、その際は痙攣、こん睡、永続性の脳障害、呼吸停止、脳幹ヘルニアが見られ、重篤な場合は死亡することもある。

(2) このような脳浮腫は、数時間で脳細胞から溶質が流出するため、脳から水が抜けて脳浮腫は改善する。重症の低ナトリウム血症であっても進行がゆっくりであれば、上記のような脳の適応が徐々に起こるため、症状が出現しなくて済む。しかし、このような脳の適応の段階で、低ナトリウム血症を急激に補正しようとすると、脳が低張のまま細胞外液が急に高張になるため水が細胞内から細胞外へ移行することによって脳の細胞内脱水が起き、浸透圧性脱髄症候群(osmotic demyelination)となることがある。橋または橋外の脱髄による脳の萎縮は、四肢麻痺、偽性球麻痺、痙攣、昏睡を起こし、ときに死に至ることがある。


Ⅲ 低ナトリウム血症の管理
低ナトリウムの治療の基本は、低張であることの危険(=脳浮腫)と、低張を急速に治療することに伴う危険(=脳浮腫と細胞外の急速な高張化による、脳の細胞内脱水)との間のバランスをとることである。

1. 症状のある低張性低ナトリウム血症 (Symptomatic Hypotonic Hyponatremia)
(1) 尿は濃縮尿なのか、希釈尿なのか

① 尿浸透圧200 mOsm/Kg H2O以上の濃縮尿か、②200未満の希釈尿なのか。これは、①腎からの水排泄が障害されている(水過剰摂取ではない)、②腎からの水排泄は障害されていない(水過剰摂取)、ということを表している。したがってその治療は、①高張食塩水+フロセミド、②水制限、というように分けて考えられる。

① 症状のある低ナトリウム血症で濃縮尿がある場合は、腎からの水排泄が障害されているため水過剰になっていると考えられる。水の摂取過剰によるのではないから、水制限は行わない。また、もちろん電解質フリーの水(electrolyte-free water)(注2)の摂取は避ける。このような場合、細胞外液ナトリウムを増加させるため、高張食塩水の点滴とそれに並行して、高張食塩水による細胞外液量の増加を抑制するためのフロセミド投与を行う。高張食塩水投与に加えて、そのほかの低ナトリウム血症に対する治療も並行して行う(甲状腺機能低下症・副腎不全ならホルモン補充、痙攣があれば抗痙攣薬と十分な換気など)。

② 症状のある低ナトリウム血症の患者で希釈尿を認める場合は、腎からの水排泄は障害されておらず、水摂取過剰が主と考えられている。この場合、症状が重篤でなければ水制限のみでよいが、重篤な痙攣や昏睡を起こしていれば、この場合でも高張食塩水の静注を行う必要がある。

注2:「電解質フリーの水(electrolyte-free water)」: 電解質を「含まない」という意味のfreeは、カフェインフリー、アルコールフリーなどで用いられる意味のfreeで、これを「自由」水と訳すのはどうなのか?「アルコール自由ビール」のようになるが?

(2) 低ナトリウム血症補正のスピード
① 症状のある低ナトリウム血症の最適な治療についてのコンセンサスはない。しかし方針としては、低張による症状(脳浮腫)を十分なスピードで改善するが、そのスピードは、治療による浸透圧性脱髄症候群を起こさない程度にすべきである。

② 痙攣があっても、血清Na値を3-7 mmol/L増やすことによって止まるとされている。浸透圧性脱髄症候群を起こさないためには、1日に8 mmol/L以上の速度では血清Na濃度を補正しないほうがいいだろう。

③ 低ナトリウム血症補正のための輸液のスピードは、次の式1を用いて求める。
=これは本論文の著者名を取って「Adrogué-Madiasの式」と呼ばれる信頼性の高い予測式である。

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ナトリウムを含む輸液1Lを入れると、どのくらい血清Na値が上がるかを上記の式で推定し、適正な血清Na値の補正速度から、その輸液時間を決める(次節で詳述)。なお、以前からよく言われる「ナトリウム必要量=体内の水x(目標血清Na濃度-現在の血清Na濃度)」という式は複雑で勧められない。

(3) 実際の低ナトリウム補正の例 (症例1-3)

症例1:術後の低ナトリウム血症
虫垂切除術を受けた32歳女性が、術後2日間に痙攣大発作を起こしたため、ジアゼパムとフェニトインの静注および挿管され人工呼吸を受けている。術後1日目に5%デキストロースを投与され、量は不明だが多くの水を飲んだ。体重は46kgでeuvolemicだったが、昏睡となり、痛みに反応するのみになった。血清Na値は112 mmol/L、K値は4.1 mmol/L、血清浸透圧は228 mOsm/kg H2O、尿浸透圧は510 mOsm/kg H2Oだった。

【診断と方針】
① この患者は、hypotonic hyponatremia(血清浸透圧は228 mOsm/kg H2Oと低下、血清Na値は112 mmol/L)である。
② 原因は、術後の腎からの水排泄障害による水貯留の結果と考えられた。
③ そこで、水制限、高張食塩水=3%食塩水(注3)の点滴と20 mgフロセミド投与を行うこととした。

注3:高張食塩水=3%食塩水の作り方
まず0.9%生理食塩水500 mlから100ml捨てる。そこに、10%NaCl 20 mlを6本(120ml)入れるとぴったり3%食塩水になる。3%食塩水のNa濃度(mol/L)は、30 g/L x17 mEq/g換算(Na 1gは17 mEqである)=510 mEq/L。

【Adrogué-Madiasの式】
① 予測される総水分量は、46 kg x0.5(女性は、脱水のないeuvolemiaで体重の50%)=23 L。
② 3%高張食塩水を1L点滴すると、血清Na値は[513 -121] mmol/L /[23+1]
=16.7mmol/L上昇する。
③ したがって次の3時間で血清Na値を3 mmol/L上げるには、3/16.7=0.18Lを3時間で(60 ml/h)点滴すればよい。

【その後の低ナトリウム血症の補正】
2-3時間ごとに血清Na値をモニターして、点滴速度を調節した。尿浸透圧は参考にはなるが、ルーチンで測定する必要はない。3時間後に血清Na濃度が115 mmol/Lになって痙攣がおさまったら、次は3%高張食塩水の点滴濃度を半分にして30 ml/hにした。さらに入院9時間後には血清Na濃度が119 mmol/Lになり呼びかけに反応するようになったら、高張食塩水は中止、もし血清Na値の目標補正値を超えるようであれば低張食塩水に変更する。

症例2:Euvolemicな状態の低ナトリウム血症
肺小細胞癌の58歳男性が強い錯乱と無気力を起こした。脱水はなく(euvolemic)、体重は60 kg、Na 108、K 3.9、血清浸透圧 220 mOsm/kg H2O、BUN 5、Cre 0.5、尿浸透圧 600 mOsm/kg H2Oだった。

【診断と方針】
① 濃縮尿(尿浸透圧 600 mOsm/kg H2O)のあるeuvolemicなhypotonic hyponatremia.。
② 利尿剤使用・甲状腺機能低下症・副腎不全がないと判断したため、肺癌によるSIADHと考えられた。
③ そこで、水制限と3%高張食塩水点滴、フロセミド20 mg静注を行うこととした。

【Adrogué-Madiasの式】
① 予測される総水分量は、60 kg x 0.6=36 L(男性は、脱水のないeuvolemiaで体重の60%)である。
② この患者に3%高張食塩水を1L点滴すると、血清Na値は(513-108) mmol/L /(36+1)=10.9 mmol/L上昇する。
③ 次の12時間で血清Na値を5 mmol/L上げるには5/10.9=0.46Lを12時間で(38 ml/h)点滴すればよい。

【その後の低ナトリウム血症の補正】
入院12時間後、血清Na濃度 114 mmol/Lに上昇し無気力ながら反応が見られるようになったので、高張食塩水は中止、飲水制限のみとした。次の12時間で血清Na値を2 mmol/L上げることを目標とし、実際Na 115 mmol/Lで意識清明となった。

症例3:Hypovolemicな状態の低ナトリウム血症
68歳女性が進行性の傾眠と失神で搬送された。この患者は高血圧に対し25 mgのサイアザイド系利尿剤(hydrochlorothiazide)を投与され、減塩食を食べていたが、ここ3日間下痢をしていたとのことであった。体重60 kg、血圧96/56、脈拍数 110、皮膚turgorは低下していた。Na 106、K 2.2、HCO3 26、BUN 46、Cre 1.4、血清浸透圧 232 mOsm/kg H2O、尿浸透圧 650 mOsm/kg H2Oだった。

【診断と方針】
① Hypotonic hyponatremiaと低カリウム血症の原因は、thiazide投与と消化管からのNa喪失とK喪失のためと考えられた。血圧低下、脈拍数増加から、脱水ありhypovolemicと判断される。
② そのため、サイアザイドと飲水は中止、0.9%生理食塩水に30 mmol/Lのカリウムを入れた点滴を開始した。

【Adrogué-Madiasの式】
① 推定される総水分量は60 kg x 0.45=27L(脱水のある女性では体重の45%)。
② 上記の式2(式1の単純応用)より、1Lの輸液によって血清Na値は2.8 mmol/L上昇する([154+30]-106/[27+1]=2.8)。
③ 脱水補正の必要があるため、次の2時間で1L/hの時間で輸液した。
④ 2時間後の輸液終了時には血圧128/72となり、精神状態も改善、血清Na値は112 mmol/L(=106+2.8x2)、血清K値は3.0 mmol/Lまで回復した。

【その後の低ナトリウム血症の補正】
この患者の細胞外液量はほぼ回復したと考え、0.45%食塩水+30 mmol/L KClの100 ml/hでの点滴に切り替えた。この点滴による血清Na値への影響はほとんどない( [77+30]-112/[27+1]= -0.2)と考えられたが、低濃度NaおよびKの尿産生のための低ナトリウム血症改善が期待された。入院12時間後には、患者の状態は回復し、血清Na値は114mmol/L、血清K値は3.2 mmol/Lまで回復した。ここで補正濃度をゆっくりにするため、5%ブドウ糖液+30 mmol/L KClに変更した。

2. 症状のない低張性低ナトリウム血症(Asymptomatic Hypotonic Hyponatremia)
症状のない低ナトリウム血症の患者の場合、低ナトリウム血症の補正の段階で生じるリスクに注意する必要がある。特に、飲水を中止した場合、水排泄障害を治療した場合は要注意である。もし利尿剤を過剰投与したり、低ナトリウム血症を急速に補正しすぎたりしたら、低張液またはデスモプレッシン投与を考える(浮腫やSIADHの持続など水排泄障害があれば別だが)。長期的な治療としてはやはり水制限(1日800 ml未満)にして、水のネガティブバランスにすることが主である。ループ利尿剤を投与すると、電解質フリーの水の排泄を促進するので、水制限を緩めることができる(サイアザイドではできない)。SIADHに対してはループ利尿剤と塩分摂取、これでうまくいかない腎性尿崩症にはデメチルクロルテトラサイクリン(レダマイシン®)を投与することもある(腎毒性や高ナトリウム血症の誘発に注意)。(注4)

注4:2013年の現在なら、アルギニンバソプレッシンV2受容体拮抗薬が使用可能。「異所性抗利尿ホルモン産生腫瘍によるSIADHにおける低ナトリウム血症の改善」に対してモザバプタン(フィズリン®)、「ループ利尿薬等の他の利尿薬で効果不十分な心不全における体液貯留」に対してトルバプタン(サムスカ®、他の利尿剤と併用)を用いることができる。


3. 低張でない低ナトリウム血症(Non-hypotonic Hyponatremia)
低張でない場合は低ナトリウム血症そのものより、原疾患治療を優先する(高血糖があればインスリン投与、脱水補正とナトリウム・カリウム投与を行うなど)。

4. 低ナトリウム血症の管理でよくある間違い
水制限はすべての低ナトリウム血症を改善はするが、すべての例で最適な方法とは限らない。細胞外液喪失型の低ナトリウム血症(図1のE)では、水制限ではなく、ナトリウム欠乏を補充することが必要である。

一方、SIADHによる低ナトリウム血症に対しては等張食塩水(0.9%生理食塩水)点滴は適切ではない。もし濃縮尿が出るようになれば(=腎の水排泄障害)、そこに等張食塩水を点滴すると、さらなる水貯留とそれによる低ナトリウム血症の進行をもたらすことになる。よく診断がつかないときに等張食塩水の点滴を行ってしまうが、間違った点滴を始める前に落ち着いて診断をつけるべきである。なお、甲状腺機能低下症と副腎不全は、SIADHと見間違う(masquerade=変装する)ことがあり警戒が必要である。高カリウム血症があれば副腎不全を疑う必要がある。

入院中に起きる低ナトリウム血症の多くは予防可能である。入院時に水排泄障害がある場合、入院してある種の薬剤投与、臓器不全の進行、術後なの状態などにより、水排泄障害がさらに悪化することがある。しかし、電解質フリーの水の摂取が、腎の水排泄能プラス不感蒸泄を超えなければ低ナトリウム血症が進行することはない。したがって、入院患者への低張液投与は慎重に行うべきだろう。

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by md345797 | 2013-07-18 05:40 | 症例検討/臨床総説