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体重減少、運動またはその両方が肥満高齢者の身体機能に及ぼす影響

Weight Loss, Exercise, or Both and Physical Function in Obese Older Adults.

Villareal DT, Chode S, Parimi N, Sinacore DR, Hilton T, Armamento-Villareal R, Napoli N, Qualls C, Shah K.

N Engl J Med 2011 March 31; 364:1218-1229.


【論文内容】
米国では65歳以上の約20%が肥満であり、その割合は増加しつつある。肥満は高齢者の身体障害の重要な原因であるが、体重減少を目標とした介入の有効性やリスクに関してはエビデンスがほとんどない。このグループは、短期的な予備研究で、体重減少と運動が高齢者の身体機能を改善することを示したが、今回はランダム化試験によってこのことを検討した。

107名のボランティア被験者をランダム化し、「コントロール」「食事」「運動」「食事-運動」の4群に割り付け(各群のBMIはいずれも37程度)、1年間それぞれの介入を行った。その結果、主要転帰であるPhysical Performance Testの平均スコアは、「食事」「運動」群がコントロールに比べ、また「食事-運動」群が「食事」と「運動」群に比べ、有意に高値であった。二次転帰である最大酸素消費も、身体機能を表すFunctional Status Questionaireも「食事-運動」群で有意に増加していた。

体重は、「食事」群で10%、「食事-運動」群で9%低下していたが、「運動」群はコントロールに比べ有意に低下していなかった。Lean body massと股関節骨密度は「食事-運動」群は、「食事」群に比べて有意に減少が少なかった。身体強度、バランス、歩行も「食事-運動」群で有意に改善していた。有害事象は、運動に伴う筋肉・骨の障害が少数認められただけであった。

【結論】
以上の結果から、食事療法による体重減少および運動療法は、単独でも肥満高齢者の身体機能を改善するが、これら両方を行うとどちらか一方のみ行った場合に比較して、肥満高齢者の身体機能をより大きく改善する。
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by md345797 | 2011-03-31 18:51 | 大規模臨床試験

肥満によるmiRNA-143の発現亢進は、インスリン刺激によるAKT活性化を阻害し、糖代謝を障害する

Obesity-induced overexpression of miRNA-143 inhibits insulin-stimulated AKT activation and impairs glucose metabolism

Jordan SD, Krüger M, Willmes DM, Redemann N, Wunderlich FT, Brönneke HS, Merkwirth C, Kashkar H, Olkkonen VM, Böttger T, Braun T, Seibler J, Brüning JC.

Nat Cell Biol. 2011 Apr;13(4):434-46. Epub 2011 Mar 27.

【まとめ】
転写後遺伝子サイレンシング(post-transcriptional gene silencing)がインスリン抵抗性の発症にどのように関与しているかは不明。このグループは、肥満マウスの肝において、microRNA(miR)-143の発現が増加していることを突き止め、miR-143の過剰発現によってインスリン抵抗性が増大し、発現低下によりインスリン抵抗性が改善することを示した。さらに、miR-143によりORP(oxysterol-binding-protein-related protein)-8の発現が低下し、これがAKTの活性化低下をもたらすことにより、インスリン抵抗性が惹起されることを見出した。

【論文内容】
miRNAsは、小さいnon-codingRNAであり、特定のmRNAを切断することによってサイレンシングし、転写後の遺伝子発現調節を行っている。このグループは、マウスの食前後の肝から差のある小さいRNA分子をクローニングし、食後にmiR-143の発現が増加していることを見出した。さらに、肥満マウス(db/dbおよび高脂肪食負荷)の肝で、miR-143の発現が増加していることを、Northern blotとRT-PCRで確認した。miR-143は肥満マウスの肝だけでなく、心・膵でも発現が増加していた。

次にdoxycycline-inducibleのmiR-143トランスジェニックマウス(miR-143DOX)を作製し、肝臓でmiR-143の発現を増加させると、コントロールに比較して耐糖能が悪化、インスリン抵抗性が増大することが分かった。このマウスで膵β細胞量には変化がなかった。このマウスの肝では、インスリンによるIR、IRS-1のリン酸化に変化はなかったが、AKTのリン酸化が低下しており、AKT活性化レベルでのインスリンシグナル伝達の障害が起きていることが明らかになった。

さらに、miR143-145欠損マウス(miR145は143と遺伝子クラスターを形成している)に高脂肪食を負荷すると、コントロールに比べ耐糖能異常、インスリン抵抗性が改善しており、AKTのリン酸化が亢進していた。miR-143は脂肪細胞分化に関与しているとの報告があったが、脂肪細胞に組織学的変化はなかった。脂肪組織へのマクロファージの浸潤、炎症性サイトカインの発現も差はなかった。

また、in vivo stable isotope labeling of amino acids(SILAC)マウスを用いてmiR-143のターゲットを同定したところ、ORP8が同定された。miR-143DOXマウスでは、ORP8のmRNAに変化はないが蛋白量は低下しており、miR-143-145欠損マウスでは蛋白量が増加していた。これらのことからORP8はmiR-143による転写後遺伝子サイレンシングのターゲットであることが示された。さらに、HepG2細胞においてORP8のsiRNAで発現量を低下させると、AKTリン酸化やAKTのターゲットであるFOXOのリン酸化が低下した。したがって、ORP8は肝においてAKTリン酸化およびその下流に至るインスリンシグナル伝達を減弱させることが分かった。

【結論】
肥満においては、miR-143によってコントロールされたORP8依存性にAKTシグナル伝達が調節されていることが示された。このことから、miR-143とORP8およびmiR-143のターゲット遺伝子が、将来肥満におけるインスリン抵抗性や糖尿病の新たな治療ターゲットになると考えられる。
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by md345797 | 2011-03-29 17:56 | インスリン抵抗性

血管内皮細胞のインスリンシグナル伝達障害は骨格筋でのインスリンによるグルコース取り込みを低下させる

Impaired insulin signaling in endothelial cells reduces insulin-induced glucose uptake by skeletal muscle.

Kubota T, Kubota N, Kumagai H, Yamaguchi S, Kozono H, Takahashi T, Inoue M, Itoh S, Takamoto I, Sasako T, Kumagai K, Kawai T, Hashimoto S, Kobayashi T, Sato M, Tokuyama K, Nishimura S, Tsunoda M, Ide T, Murakami K, Yamazaki T, Ezaki O, Kawamura K, Masuda H, Moroi M, Sugi K, Oike Y, Shimokawa H, Yanagihara N, Tsutsui M, Terauchi Y, Tobe K, Nagai R, Kamata K, Inoue K, Kodama T, Ueki K, Kadowaki T.

Cell Metab. 2011 Mar 2;13(3):294-307.

【背景】
「骨格筋間質へのインスリンの移行(insulin delivery to the skeletal muscle interstitium)」はインスリンによる骨格筋糖取り込みの律速段階になっており、肥満の状態ではその段階が遅くなっていることが今までに示されてきた。骨格筋へのインスリンの移行が増加するためには、インスリンによる毛細血管の表面積の増加(capillary recruitment)とインスリンの血管内皮の通過量の増加という2つの段階があり、肥満ではこれらが障害されて筋への糖取り込みが低下しているとされている。そこで、肥満の状態では血管内皮細胞におけるインスリンシグナル伝達(インスリン→Irs2→Aktリン酸化→eNOSリン酸化・活性化)が低下しているのではないかという仮説を立て、以下の検討を行った。

【論文内容】
肥満マウス(ob/ob、高脂肪食負荷)の血管内皮細胞では、血管内皮での主要なインスリン受容体基質(Irs)であるIrs2の発現、Aktのリン酸化および(Aktによってリン酸化・活性化される)eNOSのリン酸化が大きく低下していた。すなわち、肥満マウスでは、血管内皮細胞のインスリンシグナル伝達が障害されている(この障害は持続的な高インスリン血症によって起っていることが、正常マウスへのインスリン持続注入によって示された)。

さらに、高脂肪食負荷マウスでは、高インスリン正常血糖クランプにおけるインスリン持続注入下で毛細血管血流量と間質のインスリン濃度の増加が障害されており、クランプ中の骨格筋における糖取り込みが低下していることが示された(単離した骨格筋の糖取り込みはコントロールに比べ変化なかった)。

そこで、血管内皮特異的Irs2欠損マウス(ETIrs2KO)を作製したところ、このマウスでは、インスリンによるAktおよびeNOSのリン酸化が低下、毛細血管血流量と間質のインスリン濃度の増加が障害され、クランプにおいて骨格筋の糖取り込みが低下していた。骨格筋の糖取り込みは、ETIrs1KOでは低下が見られなかったが、ETIrs1/2DKOではETIrs2KOより高度に低下が認められた。

次に、eNOS発現を増加させるプロスタグランジンI2アナログであるベラプロストナトリウム(beraprost sodium:BPS)をETIrs2KOに投与したところ、血管内皮細胞におけるeNOSの発現とインスリンによるリン酸化が増加し、それに伴い毛細血管血流量と間質のインスリン濃度の低下が回復した(この回復は、NOS阻害薬であるL-NAMEによってブロックされた)。さらに、BPS投与によりETIrs2KOのクランプ下での骨格筋での糖取り込みの低下も回復した。

また、高脂肪食負荷マウスにBPSを投与して、血管内皮細胞のeNOSリン酸化低下を回復させても、同様に毛細血管血流量と間質のインスリン濃度の低下が回復、クランプ下での骨格筋での糖取り込みの低下も回復した。

【結論】
肥満の状態では、正常に比べてインスリンシグナル伝達が障害されており(Irs2発現の低下、Aktリン酸化とeNOS活性化の低下)、それによりインスリンによる毛細血管血流の増加が障害、間質のインスリン濃度が低下(すなわちinsulin deliveryが低下)し、最終的に骨格筋での糖取り込みが障害される。本研究により、骨格筋でのインスリン抵抗性は、筋肉細胞だけでなく血管内皮細胞のインスリンシグナル伝達障害によっても起こりうることが示され、この知見は骨格筋インスリン抵抗性改善のための新たな治療戦略につながると考えられる。
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by md345797 | 2011-03-27 22:33 | インスリン抵抗性

XBP1は、FoxO1に結合し、小胞体ストレス応答とは独立に糖代謝を調節する

Regulation of glucose homeostasis through a XBP-1–FoxO1 interaction

Zhou Y, Lee J, Reno CM, Sun C, Park SW, Chung J, Lee J, Fisher SJ, White MF, Biddinger SB, Ozcan U.

Nat Med. 2011 Mar;17(3):356-65.

【まとめ】
XBP-1s(spliced form of X-box-binding protein-1)は、小胞体ストレス応答(小胞体のタンパク質折りたたみ機能)を増強し、その結果インスリン感受性が改善されることが知られている。本研究では、XBP-1sが転写因子FoxO1と結合して、プロテアソームによるFoxO1分解を誘導することを見出した。さらに、インスリン欠乏またはインスリン抵抗性のマウスにおける in vivo での肝臓におけるXBP-1sの過剰発現の効果を検討した。その結果、インスリンシグナル伝達または小胞体ストレス応答が改善されない場合でも、XBP-1sの過剰発現によって血糖が低下することを見いだした。重度のインスリン抵抗性を示す ob/obマウスに、DNAに結合できず小胞体ストレス応答を増強できない変異型XBP-1sを発現させても、血糖が低下し耐糖能が改善した。したがってXBP-1sはFoxO1との相互作用によって、小胞体ストレス応答とは関係なく、肝臓のインスリン抵抗性を改善でき、XBP-1sの発現増加は2型糖尿病に対する新規治療法となるかもしれない。

【論文内容】
小胞体ストレス応答に重要な役割を果たすXBP-1sと、肝の糖新生を調節するFoxO1の関連を調べるため、これらをMEFsに共発現させた。その結果、XBP-1sの発現を増やしていくとFoxO1の蛋白量が低下してくることが分かり、26S proteasome阻害薬を添加したところこのことが起きなかったため、XBP-1sによりFoxO1のdegradationが起こることが示された。また、免疫沈降とtwo-hybrid assayにより、両者が直接結合することが分かった。XBP-1sのFoxO1への作用は、FoxO1のAktによるリン酸化とは無関係に起きた(PI3KおよびmTORの阻害剤、BEZ235でAkt活性化を阻害しても起きた)。

次に、中等度の濃度のAd-XBP-1sをob/obマウスに注入し肝臓に過剰発現させたところ、血糖低下が認められたが、ITTでのインスリン抵抗性の改善やインスリンシグナル(IRS-1リン酸化、Aktリン酸化)の改善は認めなかった。核におけるFoxO1の蛋白量は低下し、糖新生酵素G6pc、Pck1の発現も低下していた。すなわち、XBP-1sのFoxO1への作用はインスリン抵抗性改善およびインスリンシグナル伝達非依存性に起きる。

また、DNAに結合しないがFoxO1に結合するXBP-1s mutant (ΔDBD)は、小胞体ストレス関連蛋白を活性化できないが、FoxO1のdegradationを起こすことができた。このmutantをob/obマウスに注入しても血糖低下が起きたため、XBP-1sは小胞体ストレス応答への関与とは独立に糖代謝を調節していることが分かった。

さらに、XBP-1sをSTZによるインスリン欠乏マウス、肝でのインスリンシグナル欠損マウス(LIRKOおよびliver-specific IRS-1/2 DKOマウス)に注入しても、これらのマウスの血糖を低下させ、糖新生酵素の発現を抑制した。

以上のXBP-1sの作用はFoxO1依存性に起きることが、Ad-shFoxO1の注入によってFoxO1をdepletionすることで示された。逆にXBP-1s欠損マウスを用いてXBP-1をdepletionすると、FoxO1が増加し耐糖能が悪化した。

【結論】
XBP-1sは、小胞体ストレスの改善という作用を介さず、またインスリン抵抗性の改善という作用を介さず、糖尿病における糖新生の増大を改善することで血糖を低下させる。その点で、XBP-1sの肝臓での発現は、1型および2型糖尿病の新しい治療法につながるかも知れない。
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by md345797 | 2011-03-25 22:12 | インスリン抵抗性

耐糖能異常から糖尿病発症を予防するためのピオグリタゾン治療

Pioglitazone for diabetes prevention in impaired glucose tolerance.

DeFronzo RA, Tripathy D, Schwenke DC, Banerji MA, Bray GA, Buchanan TA, Clement SC, Henry RR, Hodis HN, Kitabchi AE, Mack WJ, Mudaliar S, Ratner RE, Williams K, Stentz FB, Musi N, Reaven PD, for the ACT NOW Study

N Engl J Med. 2011 March 24. 364:1104-1115.


【まとめ】ピオグリタゾンが耐糖能異常(IGT)から2型糖尿病が発症するリスクを減少させることができるかを検討した。ピオグリタゾン群はプラセボ群と比較して、2.4年間の追跡後の糖尿病発症は72%少なかった。体重増加、浮腫の出現はピオグリタゾン群の方が多かった。

【論文内容】
耐糖能異常(IGT)から2型糖尿病の発症は、生活習慣の調節やメトホルミン、チアゾリジン系薬剤(トログリタゾン、ロシグリタゾン)、アカルボース、摂食調節外科手術によって減少させることができることが示されている。チアゾリジン系薬剤では、トログリタゾンは現在使用できず、ロシグリタゾンは心血管疾患リスク増大のためピオグリタゾンが使えない患者のみで使用可能となっている状態である。そこで本研究では、ピオグリタゾンがIGTから2型糖尿病が発症するリスクを減少させることができるかを検討した。

602名の患者(平均BMIが34.5±0.4)にピオグリタゾンとプラセボを無作為に割り付け平均2.4年間追跡した。空腹時血糖は年4回、経口ブドウ糖負荷試験は年1回行い、糖尿病を発症したかどうかの診断は繰り返しの検査に基づいて行った。

2型糖尿病の年間発症率は、ピオグリタゾン群で2.1%だったのに対し、プラセボ群で7.6%であった(ピオグリタゾン群の糖尿病発症のハザード比は0.28)。IGTから正常耐糖能への転化は、ピオグリタゾン群で48%、プラセボ群で28%であり、空腹時血糖の低下はそれぞれ11.7mg/dl vs. 8.1mg/dl、2時間後血糖の低下はそれぞれ、30.5 mg/dl vs. 15.6 mg/dl、HbA1cの変化は、-0.04% vs. +0.20%であった。

ピオグリタゾン投与により、拡張期血圧低下と頚動脈内膜肥厚の低下、HDL-Cの増加、ALT/ASTの低下が認められた。体重増加はピオグリタゾン群の方が大きく(3.9kg vs. 0.77kg)、浮腫の発現も多かった(12.9% vs. 6.4%)。

IGTに対するピオグリタゾン治療は、糖尿病発症のリスクを減少させた。18患者を1年間治療すると、1件の糖尿病発症を予防することができる。ピオグリタゾンはHDL-Cの低下や拡張期血圧の低下、頚動脈内膜肥厚の減少をきたしたが、糖尿病合併症の予防に効果があるかは長期的な検討を待つ必要がある。
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by md345797 | 2011-03-24 20:22 | 大規模臨床試験

2型糖尿病の微量アルブミン尿発症の遅延または予防におけるオルメサルタンの効果

Olmesartan for the Delay or Prevention of Microalbuminuria in Type 2 Diabetes.

Haller H, Ito S, Izzo Jr. JL, Januszewicz A, Katayama S, Menne J, Mimran A, Rabelink TJ, Ritz E, Ruilope LM, Rump LC, Viberti G, for the ROADMAP Trial Investigators.

N Engl J Med. 2011 March 10, 364:907-917.


【まとめ】
4447名の正常アルブミン尿の2型糖尿病患者を、無作為にARBのオルメサルタン投与群とプラセボ群に割り付け、3.2年追跡した。両群とも血圧が130/80mmHg未満になるように追加の降圧剤治療(ARB、ACE阻害薬以外)を行った。その結果、オルメサルタン群で微量アルブミン尿の発症を23%遅らせることができた。ただしオルメサルタン群で、致死的心血管イベントの率が高かった。

【論文内容】
糖尿病性腎症患者の腎機能悪化には、レニン・アンジオテンシン系の過剰な活性化が伴っている。ACE阻害薬は、高血圧2型糖尿病患者の微量アルブミン尿の発症を遅らせることが知られているが、ARBにも同様な効果があるかは分かっていなかった。今回、ROADMAP studyでオルメサルタン40mg/日投与で、微量アルブミン尿の発症を遅らせることができることが示された。

4447名の白人2型糖尿病患者をオルメサルタン投与群とプラセボ群に無作為に割り付け、平均3.2年追跡した。血圧は、オルメサルタン群の80%、プラセボ群の71%が目標値の130/80mmHg未満を達成できた。一次エンドポイントである微量アルブミン尿の発症までの時間は、オルメサルタン群がプラセボ群に比べて23%長かった。また、致死的心血管イベントが発生した患者はオルメサルタン群の方が多く15 例(0.7%)であったのに対し,プラセボ群では 3 例(0.1%)であった(P=0.01).冠動脈心血管患者では、オルメサルタン群で致死的心血管イベントが多かった点が懸念される。
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by md345797 | 2011-03-11 12:08 | 大規模臨床試験

入院患者の血糖コントロール管理における強化インスリン療法―ACPからのガイドライン

Use of Intensive Insulin Therapy for the Management of Glycemic Control in Hospitalized Patients: A Clinical Practice Guideline From the American College of Physicians.

Qaseem A, Humphrey LL, Chou R, Snow V, Shekelle P; for the Clinical Guidelines Committee of the American College of Physicians.

Ann Intern Med. 2011 Feb 15;154(4):260-267.

【まとめ】
入院患者の血糖コントロールにおける強化インスリン療法について、American Collage of Physicians(ACP)でガイドラインを策定した。(1)内科系集中治療室(MICU)では、厳格な血糖管理を行う強化インスリン療法は推奨されない。(2)同じく、血糖を正常化するための強化インスリン療法は推奨されない。(3)インスリン療法を行う場合、目標血糖値は140-200mg/dLである。

【論文内容】
ACPでは、入院患者の血糖コントロールに対する強化インスリン療法の有用性と危険について、メタアナリシスをもとに検討した。ここでいう強化インスリン療法は、頻回血糖測定により目標血糖値に近付けるためのインスリンの静脈投与であり、集中治療室(ICU)での目標血糖値は通常、80-110mg/dL、ICU以外では200mg/dL未満とされる。

現在のエビデンスでは、目標血糖値80‐180 mg/dLに保っても死亡率は減少していない。血糖140mg/dL未満は低血糖のリスクが大きくなるため、避けるべきと言える。低血糖のエピソードがあると死亡率の増加、入院期間の延長があるというエビデンスがある。集中治療室での強化インスリン療法は低血糖のリスクが大きく、推奨できない。適切な血糖値の範囲を示すにはエビデンスが十分でないが、140-200mg/dLが低血糖が少なく死亡率も低い一つの信頼できるオプションである。
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by md345797 | 2011-03-10 23:22 | 臨床研究

強化血糖降下療法が心血管アウトカムに及ぼす長期的な効果

Long-Term Effects of Intensive Glucose Lowering on Cardiovascular Outcomes

The ACCORD Study Group

N Engl J Med. 2001 March 3, 364:818-28.

【まとめ】
強化血糖降下療法は、進行した2型糖尿病と心血管疾患高リスクを持つ患者の死亡率を増加させることが示されている。本報告では、平均3.7年の強化血糖降下が死亡率と主要な心血管イベントに及ぼす5年間のアウトカムについて述べている。

2型糖尿病と心血管疾患(またはそのリスク)を合併した被験者を強化療法群(目標HbA1c<6.0)と標準療法群(目標HbA1c7‐7.9%)にランダムに割り付けたが、強化療法群での死亡率が高かったため、強化療法を中止し、すべての被験者でHbA1c 7‐7.9%を目標とし、試験計画の終了時まで追跡した。強化療法中止前には強化療法群で総死亡が多かったが、その後の追跡期間でもその傾向が持続した。強化介入の中止後の、強化療法群の平均HbA1cは6.4%から7.2%に増加した。血糖降下薬の使用や重症低血糖の率は2群で同様であった。3.7年にわたる強化療法は5年死亡率を増加させたため、進行した2型糖尿病患者には推奨できない。
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by md345797 | 2011-03-04 00:58 | 大規模臨床試験

カフェテリア食はヒトのメタボリックシンドロームの有用なモデル

Cafeteria Diet Is a Robust Model of Human Metabolic Syndrome With Liver and Adipose Inflammation: Comparison to High-Fat Diet.

Sampey BP, Vanhoose AM, Winfield HM, Freemerman AJ, Muehlbauer MJ, Fueger PT, Newgard CB, Makowski L.

Obesity (Silver Spring). 2011 Feb 17. Online publication.

【まとめ】
げっ歯類で用いられているヒトの肥満のモデルのうち、伝統的に用いられてきたラードを基本とした高脂肪食(HFD)と、カフェテリア食(CAF: 高食塩、高脂肪、低線維、高エネルギー食で、クッキー、チップ、加工肉などを指す)との比較は今までに行われていない。CAFとHFDと正常食をラットに投与して比較したところ、体重増加、GTT、ITTによる耐糖能異常、インスリン抵抗性、脂肪組織・肝臓の炎症(マクロファージ浸潤)はいずれもCAFを投与した群で大きかった。CAFはヒトのメタボリックシンドロームを検討する上で、HFDと比較して有用なモデルであるといえる。

【論文内容】
カフェテリア食(CAF)は、高度に口当たりのいい(highly palatable)、高エネルギー食で、クッキー、シリアル、加工肉、チーズ、クラッカーなどを標準食(SC)と一緒に自由摂食させるもので、ヒトの西洋の食事のモデル・快楽摂食(hedonic feeding)のモデルとして用いられる。しかし、現在までにCAFと他の摂食肥満(DIO)モデルとの適切な比較はなされていなかった。今回、WisterラットにSC、LFD(カロリーの10%がラードと大豆油による脂肪の低脂肪食)、HFD(カロリーの45%が脂肪の高脂肪食)、CAF(SC+3種類のヒトのスナック類)を摂食させ、それぞれの効果を検討した。

CAF食群は他の3群に比べ、摂食量(カロリー)が多く、体重増加も多かった。また、GTTで有意に高血糖を示し、ITTでインスリン抵抗性(有意でなかったが)を示した。さらに、脂肪重量(WAT、BATとも)と血漿NEFAが有意に高値であった。

メタボリックシンドロームを伴う肥満のヒトでは、脂肪組織における低レベルの慢性炎症、マクロファージ浸潤が認められる。脂肪組織の周囲にマクロファージが浸潤している箇所であるcrown-like structureは、HFD、CAFでSCに比べ有意に増加していた。また、HFD、CAFでは肝脂肪沈着およびマクロファージによるinflammatory lociがSCに比べ多く認められた。CAFの膵島はHFDに比べてもさらに増大しており、構造が変化していた。

【結論】CAFは、ラードを基本としたHFDよりもより確実な(more robust)ヒトのメタボリックシンドロームのモデルとなる食事である。体重増加が早期から始まり、肥満、多臓器機能障害、脂肪・肝での炎症をきたすなどのことから、ヒトの現代病としての肥満のモデルとして最も有用といえる。
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by md345797 | 2011-03-03 01:01 | 糖尿病の病態生理