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β-KlothoはFGF21の代謝作用に必須である

Beta-Klotho Is Essential for the Metabolic Actions of Fibroblast Growth Factor 21

Xunshan Ding, Jamie Boney-Montoya, Bryn Owen, David J. Mangelsdorf, Steven A. Kliewer. University of Texas Southwestern Medical Center.

Keystone Symposia:Pathogenesis of Diabetes  Jan 30, 2012 (Poster 134)

FGF21を高脂肪食負荷マウスに投与すると、脂肪肝とインスリン抵抗性が改善され、体重が減少する。 しかし、FGF21が作用を発揮する組織は分かっていない。膜一回貫通型蛋白であるβ-Klothoは、FGF21のco-receptorとしてFGF受容体シグナル伝達に必要であることがin vitroで示されている。このグループは、全身および脂肪特異的β-Klotho欠損マウスを作製した。全身のβ-Klotho欠損マウスでは、FGF21によるインスリン感受性亢進が消失した。脂肪組織でのβ-Klothoも、FGF21の①急性投与によるインスリン感受性亢進と、②慢性投与による肥満・脂肪肝改善に必要であり、褐色脂肪組織における熱産生に関する遺伝子(Dio2、PGC1α、 UCP1、ELOVL3)の発現(慢性効果)に必要であった。FGF21は、①急性には、白色脂肪組織に作用してインスリン感受性を亢進させて血糖を低下させ、②慢性には、褐色脂肪組織に作用して熱産生を亢進させて肥満や脂肪毒性を改善する。
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by md345797 | 2012-01-31 16:28 | その他

マウスにおいて肥満によるインスリン抵抗性は、腸内細菌叢の調節により改善する

Obesity-induced insulin resistance improvement by gut microbiota modulation in mice

Bruno M Carvalho; Daniela M L Tsukumo; Dioze Guadagnini; Mario JA Saad Internal Medicine Department, State University of Campinas, Campinas, São Paulo, Brazil

Keystone Symposia:Pathogenesis of Diabetes  Jan 30, 2012 (Poster 119)

腸内細菌叢(gut microbiota)は血中LPSの増加を伴い、炎症とインスリン抵抗性を惹起し、肥満に重要な役割を果たしていると考えられている。そこで、このグループでは、抗生剤投与によって腸内細菌叢を調節するとインスリン感受性がどのように変化するかを検討した。Swissマウスに高脂肪食と抗生剤を8週間投与し、細菌DNAシークエンシングで腸内細菌叢の評価を行った。抗生剤投与により、細菌叢プロファイルと細菌量は大きく変化し、血中LPSおよび炎症性サイトカインが減少、肝・筋肉・脂肪組織のTLR4の活性化が抑制され、AMPKの活性化や脂質酸化を伴うインスリン感受性の亢進が認められた。さらに、肝・脂肪組織へのマクロファージ浸潤がほとんど消失した。これらの結果から、腸内細菌叢の調節は、血中LPSの低下およびAMPK活性化、肝・脂肪へのマクロファージ浸潤を減少させ、インスリン抵抗性を改善しうる。
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by md345797 | 2012-01-31 16:27 | その他

Cdk5リン酸化を阻害する非アゴニストPPARγリガンドの抗糖尿病作用

Anti-Diabetic Actions of a Non-Agonist PPARγ Ligand Blocking Cdk5-Mediated Phosphorylation 

Alexander S. Banks
Dana-Farber Cancer Institute & Harvard Medical School Boston MA

Keystone Symposia:Pathogenesis of Diabetes Jan 30, 2012 (Poster 107)

PPARγのfull agonistであるチアゾリジン系薬剤のほかに、PPARγのCdk5によるリン酸化を阻害することによりPPARγを活性化する薬剤が見出されている。これらの新規合成化合物は、古典的なPPARγの転写アゴニストではなく、培養脂肪細胞やインスリン抵抗性マウスでCdk5を介するリン酸化を阻害する。その一つ、SR1664は強力な抗糖尿病作用を示すが、脂肪分化を促進せず、体液貯留や体重増加が見られない。また、SR1664はチアゾリジン系薬剤と異なり、骨形成を阻害しない。これらの結果は、PPARγリン酸化をターゲットとした新しい抗糖尿病の創薬につながりうる。
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by md345797 | 2012-01-31 16:26 | その他

FXRによるFGF21のin vitroおよびin vivoの調節

In vitro and in vivo regulation of FGF21 by FXR.

Andrew Adams, Christine Cheng, Amy Cox, Dod Michael, Alexei Kharitonenkov. Lilly Research Laboratories

Keystone Symposia:Pathogenesis of Diabetes Jan 30, 2012 (Poster 101)

このグループは、in vitro screenを用いて、FXR (farnesoid X receptor) agonist であるGW4064が、FGF21発現を高度に増加させることを見出した。In vivoにおいてもFXR agonistの効果がFGF21を介しているか検討するため、GW4064を野生型(WT)マウスとFGF21欠損(KO)マウスに10日間投与した。 その結果、WTおよびKOマウスとも有意に体重が減少し、どちらも同様に血糖と肝の中性脂肪含量が減少した。WTマウスでは、血中FGF21が軽度上昇していたが、肝・白色脂肪・膵での発現は増加しておらず、血中FGF21の発生源は不明であった。他のFXRターゲット遺伝子(SHP)の発現は、どちらのマウスでも増加していた。FXRアゴニストはin vitroではFGF21を強力に増加させるが、(KOマウスを用いた結果から)in vivoでの代謝改善作用は、FGF21の発現を介するものではないと言える。
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by md345797 | 2012-01-31 16:24 | その他

KLF15:インスリン抵抗性とERストレスの重要な関連因子

KLF15: a critical link between insulin resistance and ER stress

Susan Gray, University of Massachusetts Medical School, USA

Keystone Symposia:Pathogenesis of Diabetes Jan 30, 2012, Santa Fe.

このグループは、Kruppel-like factor 15欠損(KLF15-/-)マウスは高脂肪食負荷しても肝のインスリン抵抗性が起こらず、脂肪肝をきたさないことを報告した(Cell Metab 2007)。ここでは、KLF15がERストレスシグナルを調節し、ERストレスに伴うインスリン抵抗性の発症に重要な役割を果たすことを示す。

ERストレスは、不適切な蛋白折り畳みが小胞体に蓄積することにより起こる細胞のストレスで、これに対するunfolded protein response (UPR)が活性化されて、異常蛋白が分解され、蛋白翻訳が抑制されることにより改善される。KLF15-/-マウスは野生型に比べて、UPRを調節する3つの経路(PERK、IRE1α、ATF6α)が活性化されていた。同様に、高脂肪食負荷するとKLF15-/-マウスの肝では活性型PERKとIRE1αが増加した。また、培養肝細胞にERストレスの誘導因子であるtunicamycinおよびthapsigarginを添加すると、KLF15の発現が数倍に増加した。これらのことから、KLF15はERストレスを軽減させる作用があることが示された。

さらに、KLF15-/-および野生型マウスに3 mg/kgのtunicamycinを腹腔内注入し、24時間後に肝を採取すると、KLF15-/-マウスの方が有意に肝での脂肪蓄積が少なかった。KLF15は、ERストレスによる肝脂肪蓄積に必要であることが分かる。KLF15-/-ではERストレス抵抗性(ERストレス下でも肝のインスリン感受性が保たれる)という結果と合わせて、KLF15はERストレスによるインスリン抵抗性をもたらす重要な因子であることが示された。
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by md345797 | 2012-01-31 10:08 | その他

グルココルチコイドは、末梢器官においてGRの二量体化を起こし、インスリン感受性を障害する

Glucocorticoids dampen insulin sensitivity via the dimerization of the glucocorticoid receptor in peripheral organs

Alexander Rauch, Fritz-Lipmann-Institute Jena, Germany

Keystone Symposia:Pathogenesis of Diabetes Jan 30, 2012, Santa Fe.

グルココルチコイドは強力な抗炎症作用のあるホルモンであるが、一方でインスリン抵抗性を惹起することにより2型糖尿病をきたすという副作用もある。グルココルチコイドによるインスリン抵抗性発症の原因には不明の点が多いため、コンディショナルグルココルチコイド受容体(GR)欠損マウスを用いて検討した。

プレドニゾロン放出ペレットを皮下に埋め込んだマウスは、1日以内に強いインスリン抵抗性をきたす(インスリン値の増加と白色脂肪組織でのAKTリン酸化の低下などインスリンシグナル伝達の低下)。肝細胞でGRを欠損させたマウス(GR AlfCre)は、プレドニゾロン投与によって野生型マウス同様のインスリン抵抗性を示すため、肝細胞でのグルココルチコイド作用はインスリン抵抗性発症に重要でない。骨格筋でGRを欠損させたマウス(GR MckCre)も中程度のインスリン抵抗性をきたすのみで、骨格筋でのグルココルチコイド作用はインスリン抵抗性発症に部分的な役割しか果たしていないと思われる。

二量体化(dimerization)欠損型GR(GR dim=DNAに直接結合できないGR)を発現したマウスは、炎症性転写因子との相互作用は保たれているが、プレドニゾロンによるインスリン抵抗性は起こさない。GR dimを用いて、肝ではなく骨格筋におけるGRおよびGRの二量体化が、グルココルチコイドによるインスリン抵抗性の発症に重要であることを示した。
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by md345797 | 2012-01-31 10:07 | その他

肥満と糖尿病における、炎症とERストレス

Inflammation and ER Stress in Obesity and Diabetes

Gökhan S. Hotamisligil, Harvard University, USA

Keystone Symposia:Pathogenesis of Diabetes Jan 30, 2012, Santa Fe.

脂肪組織における慢性・低レベルの炎症は代謝疾患の特徴となっており、このグループはそれを「metaflammation」と呼んでいる。それらのうち、小胞体(ER)の機能低下が肥満、インスリン抵抗性、糖尿病に関与していることを示してきた。最近はpathogen sensing kinaseであり、eIF2aの上流で作用するprotein kinase R(PKR)が、metaflammationに関与することを明らかにした。過剰の栄養素とERストレスはPKRを活性化することにより、JNK活性化を介してインスリン作用を障害する。

高脂肪食および遺伝的肥満モデルマウスにおいてPKRを欠損させると、体重に変化を与えることなく、JNK活性が低下しインスリン感受性が亢進する。これらの肥満マウスのPKR活性を低分子阻害剤で抑制すると、インスリン感受性が亢進した。ob/ob-PKR欠損マウスでは、体重に変化なく肥満によるeIF2aリン酸化が有意に減少しており、PKRが肝における代謝ストレスの蛋白翻訳を調節する主要な因子であることが示された。肝においてPKRと複合体を形成する蛋白を同定したところ、RNA-induced silencing complexの構成要素であることが明らかになり、これがERストレスや炎症時に蛋白翻訳を阻害するmicroRNAを生成するのに重要であることが示された。PKRは代謝ストレスを炎症反応につなぐ重要なセンサーであり、その複合体は、metaflamasome(metabolic inflammasome)を形成していると考えられた。
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by md345797 | 2012-01-31 10:05 | その他

Irisin: 白色脂肪組織を褐色化し、代謝疾患を改善する新規myokine

Irisin, a Novel Myokine that Browns Adipose Tissues and Ameliorates Metabolic Disease

Bruce M. Spiegelman, Harvard Medical School, USA

Keystone Symposia:Pathogenesis of Diabetes Jan 30, 2012, Santa Fe.

PGC1αはPPARγのcoactivatorであり、褐色脂肪組織における熱産生を調節する。近年、PGC1αは骨格筋での運動による代謝改善作用にも関与することが明らかになっている。このグループは、PGC1αの骨格筋での過剰発現または運動が、骨格筋の膜蛋白であるFndc5の発現を調節することを見出した。Fndc5は、蛋白分解を受けて112アミノ酸からなる新規分泌蛋白irisinを生成する。Irisinは、マウスとヒトにおいて血中を循環し、白色脂肪の褐色化を起こすことによりエネルギー消費を増加させ肥満を減少させる。高脂肪食負荷マウスにirisinを投与すると、糖代謝が大きく改善した。これらの結果から、irisinは運動により筋肉で生成される分泌蛋白で、運動によるエネルギー消費と代謝改善に関わることが示された。
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by md345797 | 2012-01-31 10:02 | その他

インスリン作用の新側面とインスリン抵抗性発症に関する役割

Novel Aspects of Insulin Action and Their Role in Development of Insulin Resistance

C. Ronald Kahn, Joslin Diabetes Center and Harvard Medical School, USA

Keystone Symposia:Pathogenesis of Diabetes Jan 30, 2012, Santa Fe.

インスリンとIGF-1は、抗アポトーシスホルモンとして作用している。このグループは、IRとIGF1Rのdouble-knockout (DKO)細胞が、アポトーシスに抵抗性であることを見出した。このアポトーシス抵抗性は、proapoptotic 蛋白であるBaxの減少と、antiapoptotic蛋白のBcl-2、 Bcl-xL、 XIAP、Flipの増加を伴っていた。これらの変化はposttranscriptional なメカニズムによるものであった。 このDKO細胞にIRまたはIGF1Rを発現させるとアポトーシスに対する感受性が回復したが、kinase-dead(K1030R)のIRを発現させてもアポトーシスに対する感受性は回復した。すなわち、これらの受容体はリガンドおよび触媒活性とは関係なくアポトーシス感受性を上昇させている。(Sci Signal, 2010)
DKO細胞は、miRNAの発現が変化しており、特に遺伝的インプリンティングを受ける部位で大きく変化している。これは転写因子Zac1の低下によると思われるDNAメチル化を伴っている。この新規インスリン作用のメカニズムは、インスリン抵抗性の発症にも重要な役割を果たしていると考えられる。
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by md345797 | 2012-01-31 10:00 | その他

褐色脂肪組織の酸化的代謝は、ヒトにおいて急性寒冷刺激に対するエネルギー消費に役立っている

Brown adipose tissue oxidative metabolism contributes to energy expenditure during acute cold exposure in humans.

Ouellet V, Labbé SM, Blondin DP, Phoenix S, Guérin B, Haman F, Turcotte EE, Richard D, Carpentier AC.

J Clin Invest. 2012;122(2):545–552.

【まとめ】
褐色脂肪組織(BAT)は、げっ歯類において寒冷刺激に対する正常な熱産生に重要であるが、成人のヒトにおいては、その存在や代謝への影響は少ないかまたは重要ではないと最近まで考えらえていた。近年の18F-fluorodeoxyglucose (18FDG)およびPETを用いた検討により、成人ヒトBATの存在が示された(下図1参照)。しかし、BATがヒトにおいて寒冷による非ふるえ熱産生に役立っているかは明らかではなかった。

この研究では、11C-acetate(陽子でラベルした酢酸塩。ミトコンドリアでのクエン酸サイクルに取り込まれ、組織の酸化的代謝のトレーサーとなる、下図2参照)、18FDG(グルコース代謝のトレーサー)および18F-fluoro-thiaheptadecanoic acid (18FTHA:脂肪酸のトレーサー)を用いて、寒冷条件下での6名の健康な男性のBAT酸化的代謝、グルコースおよび非エステル化脂肪酸(NEFA)のターンオーバーを定量化したところ、すべての被験者で寒冷刺激によるNEFAとグルコースの取り込みが認められた。さらに、寒冷によるBATの酸化的代謝の活性化を認めた(これは隣接する骨格筋や皮下脂肪組織では認められなかった)。この活性化は総エネルギー消費の増加も伴っていた。また、BAT活性化とふるえの間には負の関係があった。寒冷刺激によりBAT放射性濃度の増加が認められ、BATの中性脂肪含量の低下が示唆された。この研究により、ヒトにおいても、BATは非ふるえ熱産生を行っていることが明らかになった。
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             1.成人ヒトの褐色脂肪組織(BAT)の部位と視床下部による調節

【論文内容】
BATは、筋肉のふるえによらないで、すなわちUCP1によって、ミトコンドリア呼吸をATP合成から分離(uncoupling)させることによって熱を産生する機能がある。以前より18FDGを用いたPET/CTによって、ヒトの頚部および鎖骨上に対称的に、代謝的活性な脂肪組織が存在することが示されていた。これは交感神経支配を受け、褐色脂肪細胞のマーカーであるUCP1を発現しており、寒冷刺激によって18FDG取り込みが亢進したため、ヒトでもBATがエネルギー消費に重要であるとされてきた。しかし、これらの知見は、18FDGによって得られただけの結果であり、推測的な結論であった。本研究では、11C-acetate (組織の酸化的活性の測定), 18FDG (グルコースアナログ), and 18F-fluoro-thiaheptadecanoic acid (18FTHA、脂肪酸トレーサー)を用いて、急性寒冷条件下でふるえを最小化した状態でのBATの酸化的代謝・グルコースとNEFAの取り込みを成人ヒトにおいて定量化した。

6名の健康な男性を寒冷条件下(皮膚温3.8 ± 0.4°C)に置いたところ、VO2、VCO2、および安静時エネルギー消費が1.8倍に上昇し、NEFA値と血中出現率が有意に増加した。ふるえ(筋電図で測定)は1.6% ± 0.5%にコントロールされた。

寒冷刺激による18FDGの取り込み(fractional uptake (Ki))は、僧帽筋・三角筋および皮下脂肪組織に比べて、鎖骨上BATで高値であった。総グルコース取り込み(Km)もBATの方が高値であった。いずれも頚長筋とは同程度であった。

寒冷刺激による18FTHA の取り込みfractional uptake (Ki)およびnet tissue NEFA uptake (Km)は僧帽筋・三角筋・皮下脂肪組織に比べ、鎖骨上BATで高値、頚長筋とは同程度であった。

11C-acetateの静注後、血中11C放射活性は寒冷条件下と室温下で差はなかった。BATでは11C放射活性が寒冷刺激によって増加したが、皮下脂肪組織・僧帽筋・三角筋では増加しなかった。頚長筋では増加した。酸化的代謝および非酸化的代謝(acetate retention)のマーカーである11C放射活性のグラフのAUCはBATと頚長筋で増加した。真の組織酸化代謝のマーカーであるmonoexponential decay slope from tissue peak 11C activity (11C-acetate k)は、BATでは6名全員で増加していたが、頚長筋ではそうではなかった。これは、BATが寒冷下での非ふるえ熱産生に重要な役割を果たしていることを示す。

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2. BATにおける代謝:寒冷下では、交感神経刺激によりトリグリセリド分解と脂肪酸の細胞内放出が起こる。脂肪酸はミトコンドリアに流入しβ酸化によってアセチルCoAまで分解され、これがクエン酸サイクル(citric acid cycle:CAC)へ。ノルエピネフリン刺激によって、UCP1の活性化が起こり、ATP産生ではなく(uncouple)熱産生が起きる。この研究では緑で示した線のように、陽子でラベルした
酢酸塩(*Ac–) を血中に注入すると、細胞内でアセチルCoAとなりクエン酸サイクルに取り込まれる。その後、陽子ラベルした炭素(C)はCO2として放出され、組織の代謝活性を示す指標として用いられる。


【結論】
成人ヒトにおいて、筋肉のふるえによる熱産生を最小限にした寒冷刺激は、BATの酸化的代謝とグルコース・NEFAの取り込みを促進した。亢進したBAT活性は、全身のエネルギー消費を1.8倍増加させた。BAT活性とふるえの間には負の関係が認められた。寒冷条件下3時間以内のBATの放射性濃度の有意な増加があり、BAT中性脂肪含量の急速な低下が示唆された。これらの結果から、ヒト成人のBATは、急性寒冷刺激によって非ふるえ熱産生に関与しうる、代謝的に活性(metabolically active)な脂肪組織であることが確認された

(なお、本研究においては「急性の」寒冷刺激がBATの活性化を起こすことを示したにすぎず、単に「BATの量が多ければやせる」というような結論にはならない。今後は、摂食時にBATが「発火している(on fire)」状態をいかに作るかが代謝疾患治療の課題となるだろう。)
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by md345797 | 2012-01-26 07:40 | エネルギー代謝