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糖尿病の新規メカニズムのシステム生物学的アプローチによる理解

A systems approach to discern novel mechanisms in diabetes: Integrating omics data to understand causal protein and transcriptional networks that contribute to the pathogenesis of diabetes.

Niven R Narain, Arleide Lee, Shiuli Agarwa, Vivek K. Vishnudas, Min Du, Shen Luan , Slava Akmaev, John Caprice, Iya Khalil , Colin Hill, Rangaprasad Saranagarajan
Berg Biosystems.

Keystone Symposia:Pathogenesis of Diabetes Feb 1, 2012 (Poster 316)

このグループは、脂肪細胞・骨格筋細胞・肝細胞・血管平滑筋細胞・心筋細胞・内皮細胞に対するストレスや摂動(stressors and perturbation)の組み合わせととらえ、さまざまな要因をモデリングすることで糖尿病を理解する新しいアプローチを行った。このモデリング下で細胞間コミュニケーションに関するいくつかの実験を行い、分泌蛋白と細胞蛋白のproteomicsデータを収集した。各細胞モデルからのproteomicおよびtranscriptionalデータをAIを用いたデータマイニングプラットフォームで統合し、Bayesianモデルに基づいた因果関係のネットワークを作製した。正常と摂動を受けたネットワークを比較することによって、正常の状態と疾患を区別するprotein およびtranscriptionalネットワークのパターンを得ることができる。さらに、因果関係のネットワークのシミュレーションによって、活性のノードと相互作用のエッジの関係を正しく理解することができる。最も有意なノードをノックダウンまたは過剰発現実験と糖尿病特異的な機能的アッセイを用いて検証することにより、糖尿病の病態生理の理解に重要な新規メカニズムを確認できる。このディスカバリープラットフォームは、創薬のためのメカニズム理解に役立つと考えられる。
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by md345797 | 2012-02-02 16:13 | その他

肥満2型糖尿病成人における血清chemerin濃度の生活様式改善の影響

Effect of lifestyle modification on serum chemerin concentration in overweight and obese adults with type 2 diabetes

Moonsuk Nam, So Hun Kim, Seung Hwan Lee, Justin Y. Jeon, Seung Youn Lee
Inha University School of Medicine, Incheon, Korea

Keystone Symposia:Pathogenesis of Diabetes Feb 1, 2012 (Poster 314)

Chemerinは最近同定されたadipokineで、肥満・インスリン抵抗性・メタボリックシンドロームのリスク、炎症に関連があると考えられている。この研究では、肥満2型糖尿病の成人に対する3か月の生活様式改善への介入の後、血清chemerin値に有意な変化が認められるかどうかを検討した。35名の肥満2型糖尿病患者をランダムに強化生活様式改善グループ(週3回の運動)と通常ケアグループに割り付け、3か月観察した。16名がそれぞれのグループでの介入を終了し、強化生活様式改善グループで、BMI・ウエスト径・中性脂肪・γGTP・HbA1c・空腹時血糖・食後2時間血糖・HOMA-β・内臓および皮下脂肪面積・総体脂肪が減少し、VO2 maxが増加した。3か月後の血清chemerinは強化グル―プで有意に減少を認め、3か月の血清chemerin値の変化は、体脂肪・hsCRP・lipocalinの変化に相関した。これらの結果はより大きな集団で検討され、臨床的な有用性が理解されるべきであろう。
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by md345797 | 2012-02-02 16:07 | その他

インスリン欠乏およびインスリン抵抗性マウスでの、新規インスリン受容体アゴニストペプチドの効果

Novel Insulin Receptor Agonist Peptides with Differing Effects in Insulin-Deficient versus Insulin-Resistant Mice

Julie S. Moyers, Chen Zhang, Angela M. Siesky, et al.
Lilly Research Laboratories, Eli Lilly and Company

Keystone Symposia:Pathogenesis of Diabetes Feb 1, 2012 (Poster 311)

このグループは、インスリン受容体(IR)の強力な選択的アゴニストであるinsulin mimetic (IM)peptidesを作製した。ヒトIRを過剰発現した293HEK cells細胞において、IM-1とIM-2はIRのインスリンと比べて長時間チロシンリン酸化を引き起こした。293-HIR細胞を24時間刺激後、IM-1は細胞表面の125I-インスリン結合を減少させた。これはIM-1がインスリン受容体の内在化(internalization)および欠乏を起こしたためと考えられた。内因性にIRを発現するH4IIE細胞(ラット肝癌細胞)をIM-1で24時間培養すると、IRのmRNAには変化がなく、蛋白の減少が認められた、In streptozotocin投与糖尿病ラットに、100 nmol/kg IM-1 および IM-2を投与すると、急性に血糖低下が起こり、毎日の投与で7日間効果が持続した。さらに、インスリン抵抗性糖尿病ob/obマウスにIM-1およびIM-2を投与したところ、急性の血糖上昇が認められた。IM-2を6日間毎日投与すると、ob/obマウスの肝でのIRがインスリン投与したコントロールに比べて80%減少したのに伴い、高血糖を示した。このように、insulin mimetic peptidesは、内因性インスリン分泌低下・正常インスリン感受性の糖尿病モデルでは血糖を低下させるが、インスリン抵抗性のため高インスリン血症をきたすob/obマウスでは、細胞で認められたようなIR蛋白量の低下に伴って、高血糖をきたすことが分かった。
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by md345797 | 2012-02-02 16:06 | その他

中枢神経系、肝、膵β細胞のインスリン抵抗性治療のための新規薬剤ターゲットの同定

Identification of New Drug Targets to Treat Insulin Resistance in the CNS, Liver, and Pancreatic Beta-Cells

Domenico Accili, Columbia University, USA

Keystone Symposia:Pathogenesis of Diabetes Feb 1, 2012, Santa Fe.

転写因子FoxO1は様々なインスリン作用に役立っているが、このグループではFoxO1の3つのコンディショナルノックアウトマウスによって、新規薬剤ターゲットを同定することを試みた。

①視床下部AgRPニューロン特異的FoxO1欠損マウス
AgRPニューロンは摂食開始に重要な役割を果たしているが、このニューロン特異的にFoxO1を欠損させると、摂食が減少しインスリン・レプチン感受性が増加する。さらに、発現プロファイリングを用いてFoxO1のターゲットがGpr17であることを同定し、この抑制が摂食を抑制することを明らかにした。このFoxO1-Gpr17経路を阻害する薬剤があれば肥満の治療に役立つと考えられる。

②肝特異的FoxO1欠損マウス
肝でFoxO1を欠損させると、肝および血漿TGが増加する。この異常は、胆汁酸(BA)のプロファイルの変化(12α-hydroxylated BAsとその合成酵素Cyp8b1の欠損)を伴っており、BAが核内受容体FXRを活性化しTGを低下させる能力が障害されているためと考えられた。そのため、BA代謝の12α-hydroxylated産物を生成することが、肝でのインスリン抵抗性や脂質代謝異常の改善につながりうると考えられる。

③β細胞特異的FoxO1欠損マウス
成熟β細胞特異的にFoxO1を欠損させると、β細胞消失とα細胞増加が促進され,
2型糖尿病で見られるような低インスリン・高グルカゴン血症と高血糖が起きる。このβ細胞消失は、β細胞のアポトーシスによるのではなく、β細胞identityの喪失による(Neurogenin3を発現する内分泌前駆細胞がα、δ、Pp細胞にtransdifferentiateする)ためと考えられた。Wntシグナルの再活性化も、このβ細胞脱分化(dedifferentiation)の過程に重要な役割を果たしていると思われた。これらの結果から、FoxO1はβ細胞identityの維持と脱分化抑制に必要であり、Wntシグナルの抑制がβ細胞消失を抑制する治療につながることが示された。
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by md345797 | 2012-02-02 16:04 | その他

FGF受容体1cシグナルの調節を介した代謝作用

Metabolic Actions through Modulation of FGF Receptor 1c Signaling

Paul Emmerson, Eli Lilly and Company, USA

Keystone Symposia:Pathogenesis of Diabetes Feb 1, 2012, Santa Fe.

FGF21はFGF受容体- βKlotho複合体(FGFR1c / βKlotho)を介して、代謝改善作用を発揮する。しかし、逆に抗FGFR1c抗体IMC-A1 によってFGFR1cシグナル伝達を減弱させると摂食と体重が減少することが分かっており、受容体シグナルの減弱も代謝に好影響を及ぼすとされている (Am J Physiol, 2007)。このように、FGFR1cシグナルの活性化も阻害も代謝改善につながると考えられている。

IMC-A1をFGF21欠損マウスまたは野生型マウスに投与しても、摂食・体重に与える影響は同等であった。高脂肪食負荷マウスにIMC-A1とFGF21を同時に投与しても、FGF21の代謝改善効果は減弱せず、IMC-A1の摂食減少効果も障害されなかったが、これらの同時投与は、体重減少に相加的に作用した。

また、内因性にFGFR1cを発現している3T3-L1脂肪細胞またはN1E-115(神経芽細胞腫)細胞、およびβKlothoを過剰発現した3T3-L1細胞にIMC-A1とFGF21を添加した。3T3-L1細胞では、IMC-A1によりERKリン酸化を認めたのに対し、N1E-115細胞ではIMC-A1はFGF2刺激によるERKリン酸化を低下させた。すなわち、IMC-A1にはアゴニスト/アンタゴニストの2つの作用があることが分かった。このIMC-A1の作用は、βKlotho依存性であった。
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by md345797 | 2012-02-02 16:03 | その他

次世代インスリンアナログの作製

Engineering of Next Generation Insulin Analogues

Thomas Kjeldsen, Novo Nordisk, Denmark

Keystone Symposia:Pathogenesis of Diabetes Feb 1, 2012, Santa Fe.

このグループは、次世代インスリンアナログの一つのアプローチとして、肝臓特異的なインスリンアナログの作製について報告している。インスリン受容体(IR)には2つのアイソフォーム(AとB)が存在する。このアイソフォームの発現パターンは、組織特異的である。筋肉・脂肪・腎臓および心臓には両方のアイソフォームが存在するが、肝臓には主にIR-Bが発現し、脳と胎児組織には主にIR-Aが認められる。IR-Bを標的とするインスリンを作製すれば、肝臓特異性を持つことになる。インスリンのB25とB27は、IRのBアイソフォームと結合しやすい性質を担っており、これらの部位の置換によって、AアイソフォームよりBアイソフォームに4倍結合しやすいインスリンアナログを作製することができる。
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by md345797 | 2012-02-02 16:01 | その他

糖尿病治療におけるGPR119アゴニスト

GPR 119 Agonists for the Treatment of Diabetes

Dominic P. Behan, Arena Pharmaceuticals, Inc., USA

Keystone Symposia:Pathogenesis of Diabetes Feb 1, 2012, Santa Fe.

ExenatideのようなGLP-1Rのペプチドアゴニストは、β細胞内のcAMPを増加させることにより、グルコース応答性インスリン分泌を増強する。GLP-1RはclassB (secretin-like) GPCRであり、経口投与による非ペプチドアゴニストリガンドの同定は困難と考えられてきた。そこで、それに代わるclass A Gs-coupled GPCRsの同定を検討してきた。その結果、β細胞に発現しcAMPを上昇させる作用のあるrhodopsin-like GPCRである、GPR119 (別名 glucose-dependent insulinotropic receptor:GDIR)を同定した。また、GPR119は、消化管からのインクレチンホルモンの放出も刺激することが分かった。さらに、GPR119の強力なアゴニストであるAR231453は、マウスへの経口投与によりOGTTの血糖変動を改善したが、GPR119欠損マウスでは効果がなかった。現在、この薬剤の第2世代、第3世代の化合物が開発されており、前臨床および臨床試験の準備が進められている。
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by md345797 | 2012-02-02 16:00 | その他

Dapagliflozin:選択的SGLT2阻害剤

Dapagliflozin:a selective SGLT2 inhibitor

Simeon I. Taylor, Bristol-Myers Squibb Company, USA

Keystone Symposia:Pathogenesis of Diabetes Feb 1, 2012, Santa Fe.

Na+-glucose cotransporterであるSGLT2の変異は、Familial renal glucosiureaという遺伝性疾患になる。この疾患は、腎近位尿細管(S1/S2 segment)でのグルコース再吸収に障害があり、尿糖をきたすが、低血糖にならないなど健康上の異常は見られない。Phlorizinは、非選択的なNa+-glucose cotransporterの阻害剤として発見された物質で、その投与により高血糖を改善する。選択的なSGLT2阻害剤としてして、phlorizinをもとにdapagliflozinが合成された。Dapagliflozinは、臨床試験において、インスリン非依存的に空腹時血糖・食後血糖・HbA1cを低下させ、(カロリーが尿中に排泄されるため)体重も減少させた。また、(浸透圧利尿のため)血圧も低下した。腎機能には異常なく、尿路感染への影響も少ない。また膀胱癌や乳癌などの悪性腫瘍の増加もなかった。長期投与により心血管疾患リスクの低下も示された。
現在、dapagliflozinの臨床試験中のBristol-Myers Squibb/AstraZenecaは、FDAよりさらにデータを出すよう求められているところ。
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by md345797 | 2012-02-02 15:59 | その他

腸内microbiomeのシステム生物学と哺乳類代謝

Systems Biology of the Gut Microbiome and Mammalian Metabolism

Elaine Holmes, Imperial College London, UK

Keystone Symposia:Pathogenesis of Diabetes Feb 1, 2012, Santa Fe.

腸内細菌叢は、肥満・糖尿病の動物モデルやヒトでシステマティックに変化することが知られている。Gordonら が肥満と正常のヒトで異なる腸内細菌構成を持つことを示したことを初めとし、このグループでも減量手術(bariatric surgery)後に、便のMegagenome(gammaproteobacteriaに変化する)とmetabolomeの構成 (cresols、phenols、GABA、polyaminesの排泄が変化)が大きく変化することを示した。

さらに、肥満モデル動物でのmetabolic、genomicおよびmetagenomicなプロファイルの間の相関やINTERMAP のような疫学コホートを用いたmetabolome-wide association studies (MWAS)の役割についてもここで報告する。代謝プロファイリングは、腸内細菌叢と宿主の間のtransgenomicな相互作用を検討する際にも用いられる。腸内細菌叢の肥満・メタボリックシンドロームへの影響はいまだに明らかではないが、脂質代謝から蛋白腐敗による毒性代謝産物の産生まで様々なレベルでのエビデンスが存在している。
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by md345797 | 2012-02-02 03:38 | その他

マクロファージ活性化のgenomicsとlipidomics

Genomics and Lipidomics of Macrophage Activation

Christopher K. Glass, University of California, San Diego, USA

Keystone Symposia:Pathogenesis of Diabetes Feb 1, 2012, Santa Fe.

炎症とマクロファージ泡沫細胞は、動脈硬化病変と肥満脂肪組織に特徴的な所見であるが、脂肪蓄積と炎症を結び付けるメカニズムはよく知られていいない。この関連を検討するため、LIPID MAPS consortiumは、野生型およびLDL受容体欠損マウスにそれぞれ正常食または高脂肪/高コレステロール食を負荷した場合の腹腔内マクロファージを用いて、包括的lipidome/transcriptome解析を行った。これらのマウスでは、マクロファージ泡沫細胞のlipidomeとtranscriptomeの劇的な変化が見られ、特にSREBP1標的遺伝子(コレステロール生合成遺伝子)の減少とLXR標的遺伝子の増加が認められた。

デスモステロールは腹腔マクロファージのコレステロール蓄積に重要な役割を果たし、SREBP標的遺伝子を阻害してコレステロール生合成を抑制し、LXR標的遺伝子を活性化してコレステロール引き抜きと抗炎症活性を促進することが知られている。デスモステロールはさらに、コレステロールエステル化に用いられる脂肪酸であるオレイン酸(18:1)とin vivoでインスリン感受性効果があるlipokineである9Z-パルミトオレイン酸(16:1)の産生を促進するという、代謝適応を調節している。これらのことから、マクロファージのコレステロールと脂肪酸恒常性と炎症過程を調節する統合的な機能をデスモステロールが担っていることが示された。
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by md345797 | 2012-02-02 03:36 | その他