一人抄読会

syodokukai.exblog.jp
ブログトップ

<   2012年 12月 ( 3 )   > この月の画像一覧

脂肪特異的TFAM欠損マウスでは、脂肪細胞のミトコンドリア酸化が亢進し、肥満・インスリン抵抗性が改善する

Adipose-specific deletion of TFAM increases mitochondrial oxidation and protects mice against obesity and insulin resistance.

Vernochet C, Mourier A, Bezy O, Macotela Y, Boucher J, Rardin MJ, An D, Lee KY, Ilkayeva OR, Zingaretti CM, Emanuelli B, Smyth G, Cinti S, Newgard CB, Gibson BW, Larsson NG, Kahn CR.

Cell Metab. 2012 Dec 5;16(6):765-76.

【まとめ】
脂肪組織のミトコンドリア機能異常は肥満・2型糖尿病をもたらすと考えられているため、脂肪細胞特異的にTFAM (mitodhondrial transcription factor A)を欠損させたマウスを作製した。このマウスの脂肪組織では、ミトコンドリアDNAコピー数の減少やミトコンドリア形態の変化が見られた。このマウスのミトコンドリア電子伝達系ではcomplex Iやcomplex IVの活性が低下したが、complex IIの機能は亢進するなどミトコンドリア酸化的リン酸化(OXPHOS)が「リモデリング」され、脂肪細胞ミトコンドリアの酸素消費率と脱共役(uncoupling)は増加することが明らかになった。そのため、このマウスは(最初の予想に反して)エネルギー消費が亢進し、高脂肪食に伴う肥満・インスリン抵抗性が改善していた。すなわち、脂肪組織においてTFAM欠損によりミトコンドリア機能異常を起こすと、(逆説的に)全身のインスリン感受性が亢進した。なお、このマウスはインスリン感受性亢進にも関わらず、血中adiponectin値が低値であった。本研究の結果から、脂肪組織のミトコンドリア機能は、肥満・インスリン抵抗性の治療にとって有効な標的になりうると考えられた。

【論文内容】
白色脂肪組織(WAT)と褐色脂肪組織(BAT)の機能は、ミトコンドリア活性に依存している。BATは多くのミトコンドリアを含み脂肪酸のβ酸化を行うほか、UCP1がproton (H+) leakを起こすことにより熱産生によるエネルギー消費を行う。WATはBATに比べ、ミトコンドリアの量は少ないものの、正常な分化や機能維持(adipokine分泌など)のためには正常なミトコンドリア機能が必要である。肥満・2型糖尿病ではWATにおいて、ミトコンドリアDNA (mtDNA)コピー数・ミトコンドリア量・ミトコンドリア活性・酸化的リン酸化(OXPHOS)遺伝子の発現が低下している。

Mitochondrial transcription factor A (TFAM)は、mtDNAの安定性・転写に不可欠の因子であり、全身でTFAMを欠損させたマウスは胚性致死である。本研究では、脂肪細胞におけるミトコンドリア機能のインスリン抵抗性への影響を検討するため、脂肪組織(WATおよびBAT)特異的なTFAM欠損(F-TFKO)マウスを作製した。このマウスでは、ミトコンドリアcomplex Iの欠損が起きたが、驚くことに脱共役(uncoupling)の増加によってミトコンドリア酸化能は増加し、エネルギー消費の増加によって、肥満・インスリン抵抗性が改善することが分かった。

F-TFKOマウスのWATとBATでTFAMの欠損を確認
脂肪細胞特異的aP2プロモーター下にTFAMを欠損させ、F-TFKO (Fat-specific TFAM KO)マウスを作製した。このマウスの鼠径部WATから脂肪細胞分画を採取、またBATは間質部分(stromal vascular fraction)が少ないため分画を行わずそのまま採取した。F-TFKOマウスのWAT単離脂肪細胞とBATでは、ミトコンドリア遺伝子(mtATP6、mtCytb、mtCo1)の発現低下、ミトコンドリアDNAのコピー数低下が認められた。電顕像では、BATのミトコンドリアは不整形をしており、cristaeの破壊が見られた。WAT単離脂肪細胞のミトコンドリアは凝集し、コントロールの2.4倍の量に増加していた。すなわち、F-TFKOマウスの鼠径部WATとBATでは、ミトコンドリア遺伝子発現の低下、ミトコンドリアDNAコピー数の減少、ミトコンドリア形態の変化(下図)が確認された。
d0194774_14571279.png

WAT・BATでのTFAM減少は、加齢および高脂肪食による肥満を改善する
F-TFKOマウスとコントロールマウスを正常食または高脂肪食で飼育したところ、F-TFKOマウスはコントロールに比べ、週齢に伴う体重増加と鼠径部WAT重量の増加が小さく、WATの脂肪細胞が小型であった。また、F-TFKOマウスのWATではGlut4とHSLの発現が増加しており、単離脂肪細胞のインスリン刺激による2-deoxy glucoseの取り込みとisoproterenol刺激によるlypolysisが増加していた。さらに、F-TFKOマウスの褐色・白色脂肪細胞では、脂肪酸(14C-palmitate)の酸化が増加していた。なお、脂肪組織へのマクロファージ浸潤と炎症(TNF-α発現および血中濃度)は、両マウス間で差はなかった。

WAT・BATでのTFAM減少は、インスリン抵抗性を改善しエネルギー消費を増加させる
F-TFKOマウスは、コントロールマウスに比べ(正常食・高脂肪食いずれの場合でも)空腹時血糖とインスリン値が低値で、耐糖能とインスリン感受性の亢進が認められた。また、高脂肪食負荷しても脂肪肝が認められなかった。また、興味深いことにF-TFKOマウスはインスリン感受性であるにもかかわらず、血中adiponectin値が44%低値であった。脂肪細胞内のadiponectin 蛋白量およびmRNAは両マウス間で差がなかったため、血中adiponectin低値はadiponectinの分泌またはプロセッシングの低下によるものと考えられた。なお、F-TFKOマウスのエネルギー消費を代謝ケージで調べたところ、コントロールに比べ摂食が22%増加していたが、酸素消費量は10%増加しており、エネルギー消費の増加が認められた。

TFAM欠損により、脂肪細胞ミトコンドリアのOXPHOS機能が「リモデリング」される
F-TFKOマウスのBAT・WATの脂肪細胞では、Western blotにおいて、ミトコンドリア遺伝子でコードされる蛋白であるmtCytbとmtCo1、complex Iの代表的な蛋白であるNDUFB8、complex IVのsubunit 1の発現が低下していた。一方、complex V の構成蛋白であるAtp5Aとcomplex IIの構成蛋白であるSDHBの発現は増加していた。さらに、マススペクトロスコピー解析では、電子伝達系(ETC)の蛋白の多くが減少していたが、特にcomplex Iとcomplex IIIが全体的に減少していた。さらに酵素機能としては、complex Iとcomplex IVの機能が低下、complex IIの機能は増加していた。なお、TCAサイクルの重要な因子であるcitrate synthase (CS)活性はF-TFKOマウスのBATおよびWATの脂肪細胞で増加しており、酸素消費率(OCR)は増加していた。さらに、化学的脱共役剤(uncoupler)であるFCCPを添加するとコントロール脂肪組織のOCRはF-TFKO脂肪組織以上に上昇したことから、F-TFKO脂肪組織はすでに最高の代謝率または脱共役の状態に達していると考えられた。

TFAM欠損によりcomplex I活性が低下するが、脱共役が増加することにより、ミトコンドリア呼吸能は増加する
次に、C3H10T1/2間葉細胞株でTFAMをノックダウンしたところ(TFAM-shRNA1、TFAM-shRNA2)、同様にミトコンドリア遺伝子の発現とmtDNA量が減少したが、ATPターンオーバーの低下とproton leakの増加が見られ、脱共役が亢進した。また、活性酸素種(ROS)および脂質過酸化が増加しているという特徴が認められた。

F-TFKO脂肪細胞から単離したミトコンドリアの代謝能を検討したところ、complex Iの基質の存在下ではstate 3のOCRはコントロールと比べ有意差がなかったが、脂肪酸存在下ではstate 3のOCRはF-TFKOで有意に高かった。さらに、complex IIの基質の存在下では、(complex Iの機能障害にもかかわらず)F-TFKOのOCRは増加していた。したがって、F-TFKO脂肪細胞のミトコンドリアでは呼吸機能はcomplex II機能に依存していた。ミトコンドリア脱共役の指標であるRCR (respiratory control ratio=state 3/state 4)を計算すると、F-TFKOのミトコンドリアで有意に低値(慢性の脱共役を示す)であった。さらに、単離ミトコンドリア機能をフローサイトメトリーで検討したところ、F-TFKOのミトコンドリアはoligomycin A (complex V(ATP synthase)阻害剤)添加後のproton leakが大きかった。Complex II基質の存在下でのF-TFKOミトコンドリアのstate 3 OCRは大きく増加しており、酸化能の増加が認められた。以上より、F-TFKOマウス脂肪細胞のミトコンドリアでは、酸化率と脱共役が亢進していることが示された。

TFAM欠損による脂肪組織の代謝産物(metabolite)への効果
最後にF-TFKO脂肪組織の有機酸とアシルカルニチンのメタボロームプロファイルを検討した。高脂肪食負荷F-TFKOマウスのWAT・BATでは脂質過酸化(TBARS)と酸化DNA(8OHdG)の増加を認めた。メタボローム解析では、F-TFKOマウスBATでKrebs回路のほとんどの中間産物、およびピルビン酸と乳酸の増加が認められた(OXPHOSによるATP産生が低下しているため、解糖系が亢進していると考えられる)。脂肪酸のプロファイルでは、F-TFKOのWAT・BATで多種のアシルカルニチンが増加していた。脂肪組織のTFAM欠損により、OXPHOS過程の「リモデリング」、ETC増加による解糖系と脂質酸化の変化、脱共役呼吸の増加が起こり、「より代謝的に活発な」脂肪組織となった。

【結論】
脂肪組織においてTFAMを欠損させたところ、mtDNAのコピー数は減少しcomplex Iやcomplex IVの活性は低下したが、complex IIの活性は上昇するなどの電子伝達系のリモデリングが起こり、結果としてミトコンドリア呼吸機能が亢進肥満・インスリン抵抗性が改善した。これは、骨格筋特異的TFAM欠損マウスの結果や、ヒトの骨格筋complex I単独欠損症の患者で見られたのと同様の所見である。また、本研究のF-TFKOマウスでは、肥満抵抗性とインスリン感受性亢進にもかかわらず血中adiponectin値が低値、脂肪組織では酸化ストレス(過酸化脂質と酸化DNA)が増加している、という特徴が認められた。

インスリン抵抗性の状態では、ミトコンドリア電子伝達系の機能異常や、OXPHOS遺伝子の発現低下が認められることや、骨格筋でミトコンドリア生合成が増加すればインスリン感受性が亢進することが報告されていた。しかし、上記の骨格筋特異的TFAM欠損マウスAIF欠損マウスでは、本研究のF-TFKOマウスの結果と同様に、complex Iやcomplex IV活性の低下にもかかわらず、肥満・インスリン抵抗性の改善が見られた。

肥満・インスリン抵抗性改善の戦略として、BATの量を増加させる、WATの褐色化を促進するという方法が考えられる。もう一つのアプローチとして、WATや他の組織の脱共役呼吸を増加させる方法がある。これには安全な化学的脱共役剤(chemical uncoupler)が求められるが、今までにTZDsやmetforminがcomplex I活性を抑制することが知られており、これらの薬剤は、本研究の結果と同様、ミトコンドリア共役を低下させて酸化率を上昇させることで、インスリン抵抗性を改善しているのかもしれない。また、脂肪組織のTFAMを減少させる薬剤があれば、インスリン抵抗性に有効だろう。さらに、本研究の結果より、脂肪組織のミトコンドリア機能の調節機構は、肥満・2型糖尿病治療の有効な標的となると考えられる。
[PR]
by md345797 | 2012-12-12 17:55 | エネルギー代謝

骨格筋でオートファジーを欠損させると、mitokineとしてFgf21発現が増加し、インスリン抵抗性が改善する

Autophagy deficiency leads to protection from obesity and insulin resistance by inducing Fgf21 as a mitokine.

Kim KH, Jeong YT, Oh H, Kim SH, Cho JM, Kim Y-N, Kim SS, Kim DH, Hur KY, Kim HK, Ko TH, Han J, Kim HL, Kim J, Back SH, Komatsu M, Chen H, Chan DC, Konishi M, Itoh N, Choi CS, Lee M-S.

Nat Med. 19, 83–92, 1 January 2013.

【まとめ】
糖・脂質代謝におけるオートファジーの役割は年々解明が進んでいるとはいえ、現在も不明な点が多い。本研究では骨格筋特異的Atg7欠損マウスを作製したところ、予想外なことにこれらのマウスは脂肪量が少なく、高脂肪食による肥満やインスリン抵抗性が起きにくかった。この予想外のインスリン感受性亢進は、Fgf21の発現増加に伴う、脂肪酸β酸化の増加と白色脂肪組織(WAT)の褐色化によるものと考えられた。骨格筋でのオートファジー欠損はミトコンドリア機能異常をもたらすが、これがAtf4 (integrated stress responseのマスター調節因子の一つ)の発現亢進を介して、Fgf21の発現を増加させたことが明らかになった。骨格筋培養細胞であるC2C12 myotubeに薬剤(ミトコンドリア呼吸鎖阻害剤)によるミトコンドリア機能異常を起こした場合も、Atf4依存性にFgf21の発現が誘導された。なお、肝でオートファジーを欠損させたマウスでも、高脂肪食に伴う肥満とインスリン抵抗性が改善した。

以上の結果から、骨格筋でのオートファジーの欠損によってミトコンドリア機能異常が起こり、それがFgf21の発現を増加させ、Fgf21の増加によって肥満とインスリン抵抗性が改善されることが示された。Fgf21はミトコンドリアに生じたストレスを伝達するために細胞外に放出される一種の内分泌因子であり、mitokineと呼ぶことができるものである。

【論文内容】
オートファジーは、細胞質において不要となった蛋白をリソソームに運搬して分解し細胞小器官や栄養素のリサイクルに用いる、進化的に保存された過程である。膵β細胞でオートファジーが欠損するとインスリン分泌に障害が起こることからも分かるように、オートファジーは全身の糖代謝に重要な働きをしている。ほかにも、脂肪組織でオートファジーを欠損させると脂肪細胞の分化や過剰脂肪の分解が障害されることが分かっており、オートファジーの欠損はインスリン抵抗性や糖尿病の発症につながると考えられている。

オートファジーはミトコンドリアのターンオーバーも調節しており(この過程はmitophagyと呼ばれる)、そのためオートファジーの欠損はミトコンドリアの構造・機能の異常をもたらす。このミトコンドリア機能異常はインスリン抵抗性と2型糖尿病の発症原因となり、2型糖尿病患者の骨格筋ではミトコンドリアの酸化的リン酸化(mtOxPhos)関連遺伝子の発現が低下していることが報告されている。ただし、2型糖尿病患者高脂肪食負荷マウスの骨格筋においてmtOxPhos活性は正常か上昇しているという相反する報告もある。さらにはAifm1(mitochondrial flavoprotein apoptosis-inducing factor)欠損マウス骨格筋特異的Tfam (mitochondrial transcription factor A)欠損マウスでは、mtOxPhos活性が障害されるが耐糖能・インスリン感受性は亢進するという報告もある。このように、骨格筋のミトコンドリア機能障害がインスリン抵抗性をもたらすのかインスリン感受性をもたらすのかは実はよく分かっていない。

本研究では、骨格筋においてオートファジーの欠損を起こしたマウスを作製し、それにより骨格筋のミトコンドリア機能を障害したところ、予想外にFgf21が発現誘導され、その結果脂質のβ酸化とWATの褐色化が起こって、肥満抵抗性・インスリン感受性亢進がもたらされたことを報告する。本研究においてFgf21は、ミトコンドリアに生じたストレスを細胞外へ伝達するシグナル(2011年に線虫モデルにおいて、「mitokine」という名称で提唱されている)として作用していると考えられた。

Atg7Δsmマウスは骨格筋と脂肪量が減少している
骨格筋特異的にオートファジーが欠損したマウス(Atg7Δsm)を作製し、骨格筋でのLc3-IからLc3-IIへの変換の減少、p62やユビキチン化蛋白の蓄積(いずれもオートファジー欠損を示す)を確認した。Atg7Δsmマウスは、正常食摂食下でコントロールに比べて体重および除脂肪体重が少なく、骨格筋量と筋線維のサイズが有意に小さかった(オートファジー欠損に伴う筋萎縮)。また、このマウスはWATでのオートファジーは正常に保たれているのに、コントロールに比べて脂肪量が少なく脂肪細胞が小さかった。

Atg7Δsmマウスではエネルギー消費が増大している
Atg7Δsmマウスを正常食で飼育し、間質熱量計によりエネルギー消費を測定した。Atg7Δsmマウスはコントロールに比べると、摂食および運動に差はなく、運動以外のエネルギー消費が大きかった。また、このマウスは空腹時血糖とインスリン値が低く、(骨格筋でのオートファジー欠損で予想されたインスリン抵抗性とは逆に)耐糖能亢進とインスリン感受性亢進が認められた

Atg7Δsmマウスは高脂肪食負荷によるインスリン抵抗性増悪が起きにくい
Atg7Δsmマウスに高脂肪食を負荷しても、コントロールに比べて、体重・脂肪重量の増加が起きにくかった。また、高脂肪食負荷したAtg7Δsmマウスはコントロールに比べ、エネルギー消費が大きかった。また、このマウスは空腹時インスリン値、HOMA-IR、高インスリン正常血糖クランプによりインスリン感受性の亢進が認められた。なお、クランプにおけるインスリン抵抗性の改善は、(骨格筋でオートファジーの欠損があるにもかかわらず)骨格筋での糖取り込みの亢進と肝での糖産生抑制によるものであった。

Atg7Δsmマウスにおける脂質異化とWATの褐色化
高脂肪食負荷したAtg7Δsmマウスのin vivoでのβ酸化は、コントロールに比べ亢進していた([1-14C]オレイン酸を投与した後の14CO2の放出を測定)。さらに、脂肪組織・肝・骨格筋のex vivoでのβ酸化を調べたところ、高脂肪食負荷したAtg7ΔsmマウスのWATのβ酸化率はコントロールマウスに比べて亢進していた。それに対し(骨格筋でオートファジーを欠損させているのにもかかわらず)骨格筋では差がなかった。高脂肪食負荷したAtg7Δsmマウスの肝では、脂質蓄積が大きく低下し、β酸化関連遺伝子(PparaAcadlなど)の発現が増加していたが、肝におけるβ酸化はコントロールと比べ同等だった。なお、この高脂肪食負荷Atg7Δsmマウスは、肝のリンパ浸潤と肝機能障害の程度はコントロールに比べて少なかった。

次にAtg7Δsmマウスの脂肪分解(lipolysis)について検討した。高脂肪食負荷Atg7Δsmマウスの空腹時血清グリセロール能度はコントロールに比べて高く、また血清FFA濃度もやや高く、in vivo脂肪分解が亢進していると考えられた。さらにこのマウスは腎周囲WATとBATで、脂肪分解遺伝子(Ppargc1aなど)の発現が増加していた。以上のβ酸化亢進と脂肪分解の亢進によって、高脂肪食負荷Atg7ΔsmマウスのWATとBATの脂肪細胞のサイズが小さくなっていると考えられた。

それに対し、肝における脂肪合成(lipogenic)遺伝子の発現は、高脂肪食負荷Atg7Δsmマウスで低下していた。また、高脂肪食負荷したAtg7ΔsmマウスのWAT(腎周囲、鼠径部)では、コントロールに比べてUcp1Pgc1αの発現が増加していた(=WATの褐色化)。さらに、BATにおける糖取り込み(BAT活性)も亢進していた。

Atg7ΔsmマウスではFgf21が増加している
Atg7Δsmマウスではエネルギー消費とインスリン感受性が亢進していたが、free T3・adipoQ (adiponectin)・レプチン・カテコラミンの濃度はコントロールマウスと比べて差がなかった。そこで骨格筋由来の代謝活性化因子(myokine)の発現に違いがないか検討すべくマイクロアレイ解析を行ったところ、Atg7Δsmマウスの骨格筋でFgf21遺伝子発現が大きく増加していることが分かった。Atg7Δsmマウスは血清Fgf21濃度も高値であり、Fgf21が一種の内分泌因子として働いていると考えられた。なお、Atg7Δsmマウスの筋肉以外の組織(肝、WAT、BAT)ではFgf21の発現増加は見られなかった。また、2種類のオートファジー欠損(Atg7-nullとTet-off Atg5-null)マウスのMEFs (mouse embryonic fibroblasts)およびAtg7をアデノウイルスでノックダウンした骨格筋培養細胞(C2C12 myotubes)でもFgf21の発現増加が認められ、骨格筋におけるFgf21の発現はオートファジー欠損による細胞内在性(cell-intrinsic)なものであることが示唆された。

なお、高脂肪食負荷Atg7ΔsmマウスにおけるFgf21の増加が肥満防止とインスリン感受性亢進に働いていることを確認するため、Fgf21-/-; Atg7Δsmマウスを作製し高脂肪食負荷したところ、高脂肪食負荷したFgf21+/+; Atg7Δsmマウスに比べて肥満・インスリン抵抗性であった。

オートファジー欠損の骨格筋では、Atf4依存性にFgf21発現が増加する
さらに、Atg7ΔsmマウスにおけるFgf21発現増加のメカニズムを検討した。マイクロアレイ解析により、Atg7Δsmマウスの骨格筋ではAtf4 (integrated stress responseのマスター調節因子)の発現が低下していることが分かり、Atf4の蛋白発現とその上流のEif2αのリン酸化が増加していることも確認された。また、C2C12 myotubuesにアデノウイルスでAtf4を過剰発現させるとFgf21の発現が増加し、さらにFgf21プロモーター内のAtg4-responsive elements (ATF4REs)の欠損および点変異を用いたレポーターアッセイによりATF4REsの重要性が示された。

Atf4によるFgf21発現増加にはmtOxPhosの障害が重要な役割を果たす
次に、オートファジー欠損の状態ではどのようにAtf4が活性化されるのかを検討した。Atg7Δsmマウスの骨格筋では、ミトコンドリアの形態異常(膨張した形)と機能低下(O2消費・cytochrome c oxidase (Cox)活性・ATP含量・mtOxPhos関連遺伝子発現の低下)が認められた。またin vitroの系では、C2C12 myotubesにミトコンドリア機能障害を起こすため、ミトコンドリア呼吸鎖阻害剤であるrotenone (complex I阻害剤)またはantimycin A (complex III阻害剤)を添加したところ、Eif2α-Atf4経路の活性化とFgf21発現の増加が認められた。Fgf21はミトコンドリアに生じたストレスに反応して放出される因子、すなわち「mitokine」である可能性がある。Atf4-siRNAをtransfectしたC2C12 myotubesやAtf4欠損またはEif2a A/A変異を持つMEFsではミトコンドリアストレスによるFgf21発現増加は抑制されていた。逆に、骨格筋特異的mitofusin 1およびmitofusin 2のダブルノックアウトマウス(mitochondrial fusionの欠損によりmtOxPhosが障害されている)では、Fgf21 mRNA発現・Atf4蛋白発現・Eif2αリン酸化が著明に増加していた。

Atg7Δhepマウスおよび栄養欠乏マウスにおけるFgf21の役割
最後に、肝特異的にオートファジーを欠損させたマウス(Atg7Δhepマウス)を作製した。このマウスはAtg7Δsm同様、コントロールに比べて体重と脂肪重量が少なく、耐糖能が亢進していた。また、肝の脂肪蓄積は少なく、脂肪酸・トリグリセリド合成関連の遺伝子発現は低下していた。Atg7Δhepマウスの肝でもミトコンドリア機能(Cox活性とmtOxPhos関連遺伝子発現)が低下しており、それに伴って肝のFgf21 mRNA発現と血清Fgf21濃度は増大きく増加していた。これが、Atg7Δhepマウスの脂肪重量の低下と耐糖能亢進につながっていると考えられる。高脂肪食負荷Atg7Δhepマウスはコントロールに比べ、体重および血糖・インスリン値・HOMA-IRが低値だった。また、高脂肪食負荷Atg7Δhepマウスの肝では、コントロールで見られるような脂肪肝は見られず、脂肪酸・トリグリセリド合成関連遺伝子発現が低下していた。

なお、β細胞特異的Atg7欠損マウスでは、β細胞のFgf21発現や血清Fgf21濃度は増加していなかった。また、leucine欠乏(単なるカロリー制限ではなく栄養欠乏のモデル)マウスでは、肝のミトコンドリア機能異常-Atf4-Fgf21系を介して血清Fgf21濃度が増加し、体重減少とインスリン感受性亢進が起きていることが確認された。

【結論】
本研究では、骨格筋におけるオートファジーの欠損がAtf4活性化を介してFgf21の発現を増加させること、さらに増加したFgf21が一種の内分泌因子としてWATのβ酸化と褐色化をもたらすことにより、高脂肪食に伴う肥満・インスリン抵抗性が防止されることが示された。さらに、オートファジー欠損はミトコンドリア機能異常を起こすことによってFgf21を増加させる、という機構が解明された。したがってFgf21は、線虫モデルで提唱されていた「mitokine」(ミトコンドリアに生じたストレス反応を他の細胞に伝達する細胞外シグナル)の、哺乳類で同定された最初のものと考えられた。(最近、脂肪細胞にmitoNEETを過剰発現させたトランスジェニックマウスでミトコンドリア機能異常と、adiponectin産生増加、インスリン感受性亢進が起きることが報告されている。しかし、このトランスジェニックマウスでは、ミトコンドリア機能異常とadiponectin産生増加の因果関係は不明である。)

本研究のAtg7Δsmマウスにおいて、ミトコンドリア機能異常がインスリン抵抗性改善をもたらすという結果は、従来の「ミトコンドリア機能異常はインスリン抵抗性をもたらす」という考えとは相反するものである。しかし、肝または骨格筋特異的Aifm1欠損マウスではmtOxPhosが障害されるがインスリン感受性は亢進するという報告とは一致している。ミトコンドリア機能異常は、それが起こる部位によっても代謝への影響は異なり、例えばβ細胞特異的Tfam欠損はインスリン分泌低下と耐糖能異常を起こすが、骨格筋でのTfam欠損は耐糖能改善をもたらす。オートファジー欠損も、その起こる部位によって代謝に及ぼす影響は異なっている。β細胞におけるAtg7欠損はインスリン分泌障害により耐糖能異常を起こすが、脂肪細胞特異的または骨格筋特異的(本研究)Atg7欠損はインスリン抵抗性改善をもたらす。さらに、オートファジー欠損の期間によっても代謝への影響は異なるようである。例えば、アデノウイルスを用いたAtg7-shRNAにより肝で急性にオートファジー欠損を起こした場合は耐糖能異常となり、本研究の結果とは異なっている。最近、運動により骨格筋のオートファジーが誘導されるが、Bcl2ノックイン変異を持つマウスでは非運動時のオートファジーは正常に起きているが、運動によるオートファジー誘導が障害されて、高脂肪食によるインスリン抵抗性が運動によって改善しないという結果が報告された。すなわち、オートファジー欠損の様式(非運動時の欠損か運動時の欠損かなど)も代謝改善に影響するようである。

オートファジー欠損はその部位、期間、様式によって代謝に及ぼす役割が異なり、オートファジー欠損とインスリン抵抗性の関係は予想していたよりも複雑なものであることが分かってきた。
[PR]
by md345797 | 2012-12-09 05:10 | インスリン抵抗性

肝のグルコキナーゼは、神経シグナルを介するBATの熱産生抑制により肥満しやすさの傾向に影響している

Hepatic glucokinase modulates obesity predisposition by regulating BAT thermogenesis via neural signals.

Tsukita S, Yamada T, Uno K, Takahashi K, Kaneko K, Ishigaki Y, Imai J, Hasegawa Y, Sawada S, Ishihara H, Oka Y, Katagiri H.

Cell Metab. 16, 825–832, December 5, 2012.

【まとめ】
世界規模で肥満が増加し続けていることを考えると、生体には栄養過剰の条件下でもエネルギー貯蔵を促進するような未知のメカニズムが存在すると考えざるをえない。本研究は、栄養過剰に伴う肝のグルコキナーゼ(GK)発現増加に端を発し、エネルギー貯蔵を促進するようなフィードフォワードのシステムが存在することを明らかにした。実験では、高脂肪食負荷に伴う肝のGKの発現増加や、肝でのGKの強制発現によって、褐色脂肪組織(BAT)の熱産生遺伝子発現が低下し、適応熱産生が低下することが示された。この肝からBATへの臓器間システムは、肝から脳幹への求心性迷走神経とそれを受けた延髄からBATへの遠心性交感神経からなり、この経路はレプチンの熱産生促進による抗肥満作用に拮抗していることも分かった。また、高脂肪食負荷に伴う肝のGKの発現増加は、肥満抵抗性系統のマウスよりも肥満傾向系統のマウスでより顕著であり、それはBATの熱産生の程度と逆相関していた。さらに、肥満抵抗性の系統の肝にGKを過剰発現させると体重増加が促進され、肥満傾向系統のマウスで肝のGKをノックダウンすると適応熱産生が亢進して体重増加が減弱した。このような肝のGKから交感神経系を介してBATに至る組織間システムは、エネルギー貯蔵に働く倹約システムとして機能しているのみならず、肥満しやすさの傾向を決めるのに影響しているのかもしれない。

【論文内容】
生体のエネルギー恒常性は、レプチンのような液性因子や求心性・遠心性の神経シグナルによって保たれているが、これらのシステムが適切に機能してれば肥満は起こらないはずである。しかし、現実には世界的に肥満は増加しており、栄養過剰の条件下で肥満が進行し続ける何らかのメカニズムが存在すると考えられる。以前の報告により肝のグルコキナーゼ(GK)を過剰発現させたトランスジェニックマウスは体重が増加しやすいことが知られており、肝の糖代謝は全身のエネルギー恒常性調節に重要であると考えられている。そこで本研究では、アデノウイルスを用いて肝にGKを過剰発現させ、それが特にBATにおけるエネルギー代謝にどう影響するかを検討した。

肝にGKを過剰発現させグリコゲン蓄積が増加することを確認
まず、肥満しやすい傾向の系統であるC57BL/6マウスに高脂肪食を負荷したところ、内因性のGKの発現は著明に増加した。そこで、この高脂肪食負荷に伴う肝のGK発現増加が全身の代謝を変化させる可能性を考え、通常食負荷マウスの肝にアデノウイルスを用いてGKを過剰発現させた(コントロールにはLacZアデノウイルスを注入したマウスを用いた)。このマウスでは、GK発現に対し用量依存性にグリコゲン蓄積および肝トリグリセリド含量が増加し、マイクロアレイ解析によりグリコゲン生成と脂肪合成経路の酵素の発現増加が確認された。GK過剰発現マウスとコントロールマウスで、糖・脂質代謝、体重・白色脂肪組織(WAT)量、摂食、運動、体温・肝の温度に差はなかった。

肝にGKを過剰発現させると、交感神経を介してBATの適応熱産生が抑制される
興味深いことに、このGK過剰発現によりBATの脂肪細胞のサイズは増加し、熱産生関連遺伝子(UCP1、PGC-1α、D2)の発現はGK発現の用量依存的に低下していた。これらのBAT熱産生遺伝子は交感神経系(SNS)の活性化を介して発現が増加することが知られているが、このマウスではノルエピネフリンターンオーバー(SNS活性)が低下していた。さらにこのマウスで、BAT熱産生に重要な交感神経プレモーターニューロンを含むrostral raphe pallidus nucleus(吻側淡蒼縫線核:rRPa)のc-fos発現を調べた。その結果、肝のGK過剰発現によりrRPaニューロンのc-fos mRNAおよびc-fos陽性ニューロン数は有意に減少していた。したがって、肝のGK過剰発現はSNS活性低下を介して、BATの熱産生を抑制している可能性が考えられた。

このGK過剰発現マウスのノルエピネフリンによる全身の酸素消費(適応非ふるえ熱産生)は、コントロールに比べ大きく抑制されていた(basalの酸素消費はコントロールと同じだが、ノルエピネフリンによる酸素消費の増加が抑制)。さらに、このマウスのBATでの適応熱産生の低下を確認するため、マウスをthermoneutral (自然放熱のない28-30℃)およびsubthermoneutral(自然放熱のある18-23℃)のそれぞれの環境に置く実験を行った。UCP-1欠損マウスD2欠損マウスのようにBAT熱産生が抑制されているマウスをsubthermoneutralな環境に置いた場合、ふるえ熱産生などの他の組織の熱産生が起きて、WATのlipolysisが増加し体重が減少する。一方、これらのマウスをthermoneutralな環境に置くと、他の組織の熱産生が起きる必要がないため、BAT熱産生低下によって体重が増加する。この実験のGK過剰発現マウス(BATのUCP1・D2発現が低下)でも同様のことが認められ、subthermoneutralityではWATのHSL活性化に伴ってWAT重量の減少が認められたが、thermoneutralityではそれらが認められなかった。またsubthermoneutralityでは基礎代謝率が有意に増加したが、thermoneutralityでは増加しなかった。さらに、thermoneutralityの状態に13日間置いたところ、肝のGK過剰発現の用量依存的に体重およびWAT重量が増加した。以上より、肝のGK過剰発現によってBAT熱産生が抑制されることが改めて確認された。

肝からの迷走神経シグナルが肝からBATへ組織間作用を伝達している
このグループは、肝にPPAR-γを過剰発現させると肝からの求心性迷走神経を介して交感神経系が活性化されることを報告しており、このマウスでも肝からの求心性迷走神経がBATの交感神経による作用に影響しているかを検討した。肝の迷走神経切断(hepatic vagotomy; HV)を行った7日目にGKを含むアデノウイルスを注入したところ、BATのUCP1・PGC-1α・D2の発現低下とBAT脂肪細胞サイズの増加は消失していた。また、HVによって、GK過剰発現に伴うrRPaニューロンのc-fos発現低下も見られなくなった。以上の結果より、肝のGK過剰発現によるBAT熱産生の抑制は、肝からの求心性迷走神経シグナルを介していると考えられた。

肝のGK過剰発現によりレプチンの熱産生促進効果は抑制される
6日間連続で、GK過剰発現マウスおよびコントロールLacZマウスの腹腔内にレプチンを投与したところ、どちらも同じように摂食抑制が起きた。これらのマウスでは、レプチン投与によりrostral arcuate nucleus (吻側弓状核;ARC)におけるc-fosとPOMC発現の亢進、NPY発現の抑制も同じように起きた。したがって、肝のGK過剰発現はARCニューロン活性および摂食抑制に対しては影響がないといえる。それに対し、肝にGKを過剰発現させた場合、レプチンによるBATのUCP1・PGC-1αの発現増加とrRPaのc-fos発現増加は抑制された。したがって、この肝GK過剰発現によるレプチン作用の抑制は、rRPa-SNS-BAT経路を介していると考えられる。rRPaの上流においては、paraventricular nucleus of the hypothalamus (視床下部室傍核;PVN)がレプチンによって活性化されることが知られているが、両者のマウスではレプチン投与によるPVNにおけるc-fos発現増加と熱産生神経伝達物質(CRH、TRH)の産生増加に差は見られなかった。したがって、肝のGK過剰発現は、レプチンによるエネルギー消費促進効果を、視床下部より下流で阻害していると考えられる。

肝のGK発現は肥満しやすさの傾向を決めるのに貢献している
上記の肝のGK発現に端を発する神経メカニズムは、生理的な状況下ではどのような役割を果たしているのか。それを検討するため、肥満しやすい系統のマウス(C57BL/6、AKR)と肥満に抵抗性の系統のマウス(SWR/J、A/J)に高脂肪食を1週間負荷し、それぞれ肝の内因性GK、BATのUCP1の発現を比較した。高脂肪食による肝のGK発現増加は、肥満抵抗性の系統より肥満しやすい系統の方が大きかった。さらに、肝のGK発現増加はBATのUCP1発現の程度と逆の相関を示した。そこで、肝GK発現からBATへのシグナル伝達が肥満しやすさの傾向を決めている可能性を考え、以下の実験を行った。まず、肥満抵抗性系統のSWR/Jマウスに正常食を負荷し、アデノウイルスを用いて肝にGKを過剰発現させたところ、BATのUCP1・PGC-1α ・D2発現が抑制され、(肥満抵抗性にもかかわらず)体重増加が亢進した。次に、肥満しやすい系統のC57BL/6マウスにGKのshRNAを含むアデノウイルスを注入して肝の内因性GKの発現をノックダウンして(GK-KDマウス)、高脂肪食を負荷した。その結果、高脂肪食負荷GK-KDマウスでは、BATのUCP1・PGC-1α・D2発現が増加し、rRPaでのc-fos発現も増加していた。さらにGK-KDマウスでは、ノルエピネフリン投与による酸素消費が増加しており、その結果、高脂肪食による体重増加が抑制されていた。以上より、高脂肪食負荷に伴う肝の内因性のGK発現増加は、適応熱産生を調節することにより、肥満しやすさの傾向を決めている可能性が考えられた。
d0194774_045754.jpg

【結論】
高脂肪食負荷(栄養過剰)の条件下では肝のGK発現が亢進し、このことがBATの熱産生を抑制することにより、肥満を助長するメカニズムが明らかになった。この組織間メカニズムは肥満を促進する代謝スイッチになっていると考えられ、また肥満しやすさの傾向を決めている可能性もある。このシステムは、かつてはエネルギー貯蔵に有利な「倹約システム」ともいうべきフィードフォワードのメカニズムとして働いていたが、栄養過剰の現代においては肥満助長の引き金になっているのかもしれない。
[PR]
by md345797 | 2012-12-07 00:11 | エネルギー代謝