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骨粗鬆症に対するビスフォスフォネート治療

Bisphosphonates for Osteoporosis.

Favus MJ.

N Engl J Med. 2010 Nov 18;363(21):2027-2035.

【骨粗鬆症とBisphosphonates】
閉経によるエストロゲン低下に伴い、骨髄間質細胞およびosteoblastからRANKL(receptor activator of NF κB ligand)の産生が増加し、RANKLの、osteoclast細胞表面のRANKへの結合が増加する。この結合がosteoclast前駆細胞を増殖させ、matureなosteoclastへの分化が促進される。これにより骨のturnoverが増加しresorption pitsの深さと数が増加する。Osteoblastによる骨形成はこれに追い付かず、骨密度が低下し骨折などを引き起こしやすくなる。Bisphosphonatesは、骨吸収を抑制し骨折を減少させる。Bisphosphonates(P-C-P)はpyrophosphates (P-O-P)に構造が似ており、コアのCに短い側鎖が二つ付いている(R1=骨結合のアフィニティを決め、R2=Nを含み骨吸収阻害の強さを決める)。
Bisphosphonateは、ハイドロキシアパタイトミネラル相に蓄積し濃度が上昇する。その後、osteoclast内に入り、FPPS(farnesyl pyrophosphate synthase)を阻害することにより、骨吸収を抑制する。

【臨床のEvidence】
FIT:2027名の閉経後の骨折ハイリスクの女性にランダムにプラセボとalendronateを割り付け、36か月観察した結果、椎体骨折がalendronate群で有意に少なかった。
VERT:2458名の閉経後の女性をプラセボとrisedronateに割り付けたところ、3年間の新規椎体骨折がrisedronate群で有意に少なかった。
HORIZON:7765名骨粗鬆症を持つ閉経後の女性をプラセボとzoledronateに割り付けたところ、36か月後の新規椎体骨折がzoledronateで有意に低かった(10.9% vs. 3.3%)。

【臨床使用】
すべての閉経後の女性で脊椎か大腿骨頚部の骨密度が骨粗鬆症の基準(T scoreが-2.5未満)を満たしている者は、骨折予防の長期治療を受けるべきである。経口剤可能であればalendronateかrisedronate、不可能であれば静注のzoledronic acidを用いる。大腿骨頚部の骨密度低下が正常かやや低下していればibandronateも用いられる。骨形成薬teriparatide(PTH 1-34)も用いられるが、大腿骨頚部骨折を減らすかどうかはまだ示されておらず、bisphosphonateより高価である。エストロゲンは閉経後女性の椎体・大腿骨頚部骨折に効果があるが乳がんおよび心血管疾患のリスクを増加させる。Raloxifeneは、経口SERM(selective estrogen-receptor modulator)であり椎体骨折のリスクを減らすことが分かっている。カルシトニン経鼻スプレーは抗骨吸収薬であるが、その効果は限られている。

経口bisphosphonateは週1回か月1回服用する。静注bisphosphonateは、ibandronateは3カ月1回、zoledronateは12カ月に1回である。ただし、治療の頻度はどのくらいが最適かはいまだにはっきりしていない。Bisphophonate開始3、6か月後には、bone-turnoverマーカーとしてosteocalcin、CTX(C-terminal telopeptide of type 1 collagen)を測定する。また、2年に1回DXAを用いた骨密度測定を行う。

【副作用】
発熱、食道炎および潰瘍、一時的な腎毒性がある。まれだが重篤な副作用として顎骨壊死(osteonecrosis of the jaw)がある。大多数の顎骨壊死は、骨髄腫や乳がんなどの治療でzoledronateやpamidronateを骨粗鬆症で用いる場合の10-12倍の量用いた時に起こっている。
by md345797 | 2010-11-27 00:57 | 症例検討/臨床総説