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ナテグリニドの糖尿病発症および心血管イベントに対する効果

Effect of nateglinide on the incidence of diabetes and cardiovascular events.

NAVIGATOR Study Group.

N Engl J Med. 2010 Apr 22;362(16):1463-76.

【まとめ】
耐糖能異常(IGT)患者に速効型インスリン分泌促進薬ナテグリニドを投与しても、5年間の追跡期間中の糖尿病発症率は減少しなかった。また、心血管イベントのリスクも減少しなかった。したがって、ナテグリニドはIGTの血糖・心血管イベント発症管理には適していないという結論に達した。

【論文内容】
IGTにおいて、速効型インスリン分泌促進薬による①糖尿病発症、②心血管イベントリスクの減少効果は明らかではない。そこで、ナテグリニドによる①②の減少効果をdouble-blind randomized clinical trialによって検討した=NAVIGATOR(Nateglinide and Valsartan in Impaired Glucose Tolerance Outcome Research)。

9,518名のIGT患者をナテグリニド群、プラセボ群に割り付け、5.0年糖尿病発症について追跡した。その結果、①糖尿病の発症、②心血管イベント(中核的心血管アウトカム=心血管死、非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中、心不全による入院、および拡大心血管アウトカム=前述のアウトカムおよび不安定狭心症による入院、動脈血行再建)とも両群で差はなかった。
5年の追跡期間中、空腹時血糖はナテグリニド群で低値であったが、ブドウ糖負荷2時間値はナテグリニド群で高値(検査時にはナテグリニドを服用していない)であった。体重・腹囲はナテグリニド群で有意に高値であった。ナテグリニド群で低血糖のリスクが大きかった。

【結論】
IGTから糖尿病の発症については、STOP-NIDDM(acarbose)で25%低下、DPP (metformin)で31%低下、DREAM (rosiglitazone)で62%低下していたが、今回のNAVIGATORでは低下が見られなかった。
by md345797 | 2010-11-29 16:33 | 大規模臨床試験