Effect of valsartan on the incidence of diabetes and cardiovascular events.
NAVIGATOR Study Group.
N Engl J Med. 2010 Apr 22;362(16):1477-90.
【まとめ】
耐糖能異常(IGT)患者に2型糖尿病、心血管イベントを起こさせない介入をすることは重要である。この臨床試験では、ARBバルサルタンによりIGT患者の糖尿病発症が14%低下したが、心血管イベント発症は低下しなかった。
【論文内容】
IGTからの糖尿病発症を減少させるには、生活習慣への介入、経口糖尿病薬(metformin, acarbose, rosiglitazone)が効果があったことが報告されているが、レニン・アンジオテンシン系阻害薬でこの効果があるかは知られていない。
このNAVIGATOR試験では、IGT患者9,518名をバルサルタン群とプラセボ群に分け、6.4年(心血管イベント)、と5年(糖尿病新規発症)追跡した。
追跡期間中、血圧はバルサルタン群で有意に低値、体重減少はバルサルタン群で少なく、腹囲は差はなかった。空腹時血糖、ブドウ糖負荷後2時間血糖値はバルサルタン群で有意に低値であった。
また、バルサルタンは糖尿病発症を有意に低下(14%)させた。しかし、心血管イベント、心血管死、全死亡は2群で差はなかった。
【結論】
バルサルタンはIGTから糖尿病発症のリスクを14%減少させたが、その効果は小さく、耐糖能異常の管理としては依然として生活習慣の介入が重要であると考えられる。