Noninvasive imaging of pancreatic islet inflammation in type 1A diabetes patients
Gaglia JL, Guimaraes AR, Harisinghani M, Turvey SE, Jackson R, Benoist C, Mathis D, Weissleder R.
J Clin Invest. 2010; Dec 1. (
online publication)
【まとめ】
1型糖尿病(T1D)は、膵島に白血球が浸潤することによって起きる自己免疫疾患であるが、その病態理解のために、発症や進展を「見る」ことができないのが予防や治療の障害になっている。そこで、このグループでは膵島炎(insulitis)を起こした患者の膵を、非侵襲的に可視化する方法を確立した。MRI-magnetic nanoparticle(MNP)という方法で、最近起こったT1D患者の膵を非糖尿病のコントロールと区別することができた。
【論文内容】
6カ月以内に診断されたT1D患者10名と非糖尿病コントロール12名に、MNP ferumoxtran-10を注入(マクロファージに取り込まれる)、その前後で3回MRIを受けた(ベースラインのシグナルを確認するpre-MNP、膵のvolumeを推定するimmediate post-MNP、マクロファージの浸潤を反映するdelayed post-MNPの3回)。
膵のvolumeの指標であるPVI(pancreas volume index=膵の量を体表面積を割った数値)を測定して比較すると、T1Dはコントロールに比べ31%有意に小さかった。
MRIにおいてMNPはnegative T2 contrast agentなので、T2の変化をマクロファージ取り込みの指標として用いた。MNP注入前と注入後48時間の画像を3Dに再構成して、T1Dでは画像上T2信号が少ないことを確認することができた。また、膵頭部、体部の方が尾部よりT2の不均一性が大きかった。注入前後48時間のT2の変化(ΔT2)を膵で比較するとT1Dとコントロールで有意な差があったが、筋肉で比較するとその差は見られなかった。さらに、ΔT2/PVIという指標を設定すると、T1Dとコントロールの膵で有意な差が認められた。
本研究により、T1D発症早期であってもPVIが小さいことが明らかになった。また、T1D患者ではMNPの蓄積に不均一性が認められることも分かった。
【結論】
MRI-MNP法によりT1Dの進行を追跡する非侵襲的なイメージングが可能である。この方法は、T1Dの鑑別診断、顕在性の糖尿病になる前の潜在的膵島炎のスクリーニング、免疫療法の反応性の確認などに応用することができると思われる。