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Adiponectinの多様な作用は、受容体によるセラミダーゼ活性の活性化による

Receptor-mediated activation of ceramidase activity initiates the pleiotropic actions of adiponectin.

Holland WL, Miller RA, Wang ZV, Sun K, Barth BM, Bui HH, Davis KE, Bikman BT, Halberg N, Rutkowski JM, Wade MR, Tenorio VM, Kuo M-S, Brozinick JT, Zhang BB, Birnbaum MJ, Summers SA, Scherer PE.

Nature Medicine (Published online 26 December 2010)

【まとめ】
Adiponectinは、インスリン感受性を亢進させ、炎症を抑制し、細胞生存を促進するなどの全身にわたる有利な作用をきたすが、これらを統合的に説明するメカニズムは不明である。この論文では、adiponectinが2つの受容体AdipoR1 and AdipoR2に伴うセラミダーゼ活性を強く刺激し、セラミド分解を促進し、抗アポトーシス作用をもたらす代謝産物sphingosine-1-phosphate (S1P)の産生を促す(これらはAMPKの作用とは独立して起きる)ことを示した。

さらに、膵β細胞と心筋細胞でのアポトーシス誘導モデルを用いて、adiponectinの過剰発現トランスジェニックマウスではcaspase-8を介した細胞死が減少し、adiponectinの欠損マウスではin vivoのスフィンゴシン経路が増強されることが分かった。2つのadiponectin受容体アイソフォームを欠損させた細胞ではセラミダーゼ活性が障害され、セラミドの増加とpalmitateによる細胞死感受性が増強された。

これらのことから、adiponectinの作用がsphingolipid代謝を上流とする統合的なメカニズムで説明がつくことが示された。
by md345797 | 2011-01-01 21:00 | 糖尿病の病態生理