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Toll-like receptors-炎症と代謝を結ぶ

Toll-like receptors: linking inflammation to metabolism.

Könner C, Brüning JC.

Trends in Endocrinology & Metabolism, Volume 22, Issue 1, 16-23, 2011.


【TLRシグナル伝達と末梢のインスリン抵抗性】
TLRs(Toll-Like Receptors)はパターン認識受容体であり、宿主防御の主要な系である自然免疫系において重要な役割を果たしている。TLRsには哺乳類で12種類が同定されており、細胞外のLRR (leucine rich repeat)ドメインと細胞内のTIR (Toll/IL-1 receptor)ドメインからなる、膜貫通型受容体である。TLRsは病原体(ウィルス、細菌、真菌、寄生虫)が作る分子パターンを認識し、受容体のTIRドメインが下流のシグナル伝達に必要なアダプター蛋白を結合し細胞内にシグナルを伝達する。このシグナル伝達が、IKK/NFκB経路とMAP-kinase経路(JNK活性化)を介して炎症反応を惹起する。

TRL4はマクロファージや樹状細胞などの免疫細胞に主に発現し、Gram陰性細菌壁のリポ蛋白(LPS)に結合する。LPSの構成成分のうち、中鎖飽和脂肪酸であるラウリン酸は、マクロファージ・脂肪細胞のTLR4シグナルを活性化するのに十分である。また、高脂肪食に伴うインスリン抵抗性をきたす飽和脂肪酸(パルミチン酸など)は、骨格筋においてTLR4シグナルを活性化することが知られている。TRL4欠損の状態では、高脂肪(飽和脂肪酸)食に伴う肥満とインスリン抵抗性が惹起されなくなる。TLR2を阻害してもパルミチン酸によるインスリン抵抗性が改善することが示されており、脂肪酸によるインスリン抵抗性の経路にはredundancyがあることが分かる。

肥満や2型糖尿病患者では骨格筋のTLR4発現が増加しており、飽和脂肪酸がTLR4を介して下流のJNKやIKKを活性化しインスリン抵抗性を起こす経路が想定されている。一方で、飽和脂肪酸がTLR4やTLR2を直接活性化するのではなく、飽和脂肪酸によって生成されるceramideがTLR活性化とそれに伴うインスリン抵抗性を起こしていることが最近報告されている。さらに、TLR活性化はその真のリガンドであるLPSによって起きるという報告もある。高脂肪食はLPSを含む細菌叢を増やし、血中LPSを増加させること(metabolic endotoxemiaの状態)によりTLRを介して炎症を増加させインスリン抵抗性を亢進させることが示唆されている。

【TLRシグナル伝達と中枢のインスリン/レプチン抵抗性】
肥満はインスリン・レプチンの中枢投与による摂食抑制を減少させるが、同じカロリーの過食でも高脂肪食にもる過食が摂食抑制減少作用を起こす。脂肪の中でも飽和脂肪酸(パルミチン酸など)が、視床下部に蓄積しレプチン抵抗性を引き起こす。中枢神経系でのIKKβおよびTLRシグナルの阻害がレプチン抵抗性を阻害することが報告されおり、飽和脂肪酸中枢投与によるレプチン抵抗性およびインスリン抵抗性にTLRが重要な調節因子であると考えられている。
by md345797 | 2011-01-10 21:13 | インスリン抵抗性