The NLRP3 inflammasome instigates obesity-induced inflammation and insulin resistance.
Vandanmagsar B, Youm YH, Ravussin A, Galgani JE, Stadler K, Mynatt RL, Ravussin E, Stephens JM, Dixit VD.
Nat Med. 2011 Feb;17(2):179-88. Epub 2011 Jan 9.
【まとめ】
肥満に伴い、明らかな感染や自己免疫がなくても慢性炎症が起こる。自然免疫のセンサーであるNod-like receptor (NLR) familyのうちnucleotide-binding domain, leucine-rich–containing family, pyrin domain–containing-3 (Nlrp3) inflammasomeは、微生物によらない危険シグナルを認識し、caspase-1 を活性化し、IL-1β・IL-18を分泌するのに重要である。このグループでは、カロリー制限や運動により、2型糖尿病肥満者の体重減少が脂肪組織でのNlrp3発現低下、炎症の減少、インスリン感受性の改善をもたらすことを示した。また、Nlrp3 inflammasomeは脂肪毒性による細胞内セラミドの増加とそれによるcaspase-1 cleavageをもたらすことを明らかにした。マウスでNlrp3 を欠損させると、脂肪および肝臓での、肥満に伴うinflammasome 活性化とインスリンシグナルの亢進が起き、脂肪細胞でのIL-18とIFN-γ発現が低下し、naive T 細胞が増加、effector T細胞が減少した。これらのことから、Nlrp3 inflammasomeは肥満による危険シグナルを感知し、肥満に伴う炎症とインスリン抵抗性を惹起することが明らかになった。
【論文内容】
マウスにカロリー制限をすると、脂肪細胞の大きさの減少に伴い、Nlrp3およびIl1βの発現が低下することが分かった。同様のことが2型糖尿病の肥満者でも認められ、これらの蛋白の発現低下に伴い、インスリン感受性が亢進(HOMA-IRで評価)した。
Nlrp3 inflammasome(inflammasome=複数の蛋白からなる蛋白複合体で、,細胞質内の異物をNLRP3などを介して細胞に対するdanger signalとして認識し,非活性型のprocaspase-1を活性型のcaspase-1にし、casepase-1はpro- IL-1βやpro- IL-18を炎症性サイトカインとして実際に働くIL-1βやIL-18にし、炎症反応を誘導する)は脂肪組織のマクロファージ(ATM)に存在し、高脂肪食による肥満の状態で脂肪組織でのcaspase-1活性化をきたしIL-1、IL-18の分泌が増加する。Nlrp3-/-マウスではこの過程が阻害された。
さらに、Nlrp3欠損マウスは高脂肪食を負荷した状態でも、インスリン感受性が亢進し耐糖能が改善しており、脂肪・肝臓・筋肉でのインスリンによるAKTリン酸化が亢進していた。次に、肥満の過程でATMが脂肪酸からセラミドを合成することから、Nlrp3 inflammasomeがセラミドを感知するかどうかを検討した。Nlrp3-/-のマクロファージではセラミドによるIL-1βの分泌が低下していた。Nlrp3欠損により、セラミドによるATMの炎症性活性化(TNFαの発現など)が起こらなくなった。
肥満状態での脂肪組織においてT細胞活性化も炎症の維持に重要である。Nlrp3欠損により、肥満マウスの脂肪組織のeffector T細胞が減少、マクロファージを介するT細胞活性化も減少していた。
【結論】
肥満に伴い、マクロファージが脂肪細胞に浸潤し炎症性メディエーターを放出することがインスリン抵抗性の原因となっているが、免疫細胞活性化の上流のメカニズムは不明であった。今回の報告で、Nlrp3 inflammasomeが脂肪細胞のcaspase-1活性化を介して、炎症を起こすメカニズムが明らかになった。