NF-κB, inflammation, and metabolic disease.
Baker RG, Hayden MS, Ghosh S.
Cell Metab. 2011 Jan 5;13(1):11-22.
【NF-κBと免疫応答】
サイトカインや病原体関連分子パターン(PAMPs: pathogen-associated molecular patterns)は細胞表面のTNFα受容体、TLR(Toll-like receptor)などの受容体を介して、NF-κBの活性化を起こす。肝臓、脂肪組織などにおけるNF-κB活性化が炎症に伴う代謝疾患の発症に関与している。NF-κBは刺激のない状態では、IκBに結合した状態で細胞質に存在するが、サイトカインやPAMPsの細胞表面受容体への結合によって、IKKが活性化され、IκBのリン酸化、degradationによりNF-κBの核への移行が起こり、標的遺伝子の転写が活性化される。これにより、免疫細胞の分化が促進される。特に重要なものは単球からマクロファージへの分化であり、M1マクロファージ(IL-1、6、TNF-αを産生し、自然免疫開始を助ける。また、リンパ球移動を促進し、適応免疫を開始する)とM2マクロファージ(創傷治癒に関与し、抗炎症作用のあるIL-10 を産生する)の2種に大別される。
【炎症と肥満】
肥満のゲノムワイド関連研究で、マクロファージ遺伝子ネットワークと肥満の関連が指摘されている。このメカニズムについては正確には明らかではないが、現在までによく分かっているのは、肥満の脂肪組織における炎症性M1マクロファージの活性化による慢性炎症である。何が脂肪組織に炎症を起こすのかは明らかではないが、栄養過剰による小胞体ストレス、脂肪酸増加に伴うTLRの活性化などが提唱されている。そのほかに、(1)中枢神経系の炎症が過食・肥満を起こす、(2)TLR4が直接、飽和脂肪酸による肥満をもたらす、(3)腸管の細菌叢の異常が肥満を起こす、などのメカニズムが提唱されている。
【NF-κB、インスリン抵抗性、2型糖尿病】
栄養過剰によりIKKβが活性化され、これが直接またはNF-κBによる転写活性化を介してインスリンシグナル伝達障害を引き起こすと考えられている。
【NF-κBと動脈硬化の進展】
動脈硬化は、酸化リポ蛋白が血管内皮細胞からのMIP-1α、MCP-1などの分泌を促進することによる、動脈壁の炎症であると認識されるようになっている。NF-κBは動脈硬化性プラーク形成のいくつもの段階に関与することが知られている。血管内皮細胞特異的にIκBシグナルを阻害したApoE欠損マウスでは、高脂肪食に伴う動脈硬化が少ない。