The influence of age on the relationship between subclinical hypothyroidism and ischemic heart disease: a metaanalysis.
Razvi S, Shakoor A, Vanderpump M, Weaver JU, Pearce SH.
J Clin Endocrinol Metab. 2008 Aug;93(8):2998-3007.
【論文内容】
潜在性甲状腺機能低下症(SCH: subclinical hypothyroidism)は、甲状腺ホルモンは正常であるが、TSHが増加している病態で、人口の4-10%に認められる。SCHは虚血性心疾患に関連していることが分かっており、SCHの多い高齢者では大きな問題となっている。SCHと虚血性心疾患の関係は、年齢・性別によって異なるとされているが、今回systematic reviewを用いてこれを検討した。
その結果、65歳未満のSCHで有意に虚血性心疾患の頻度が高くなること、65歳以上では有意差が認められないことが明らかになった。発症率についても同様で、65歳未満で有意に虚血性心疾患の発症率が上昇した。
【追加コメント・日本における治療指針】
潜在性甲状腺機能低下症の診断と治療の手引き(2008年案)より
診断にはF4とTSHを測定し、F4が基準値内でTSHは基準値上限(およそ4.5μU/ml)を超える値であることが必要。
治療として、比較的少量(25-50μg/日)のT4で補うことでeuthyroidが得られる。軽微な甲状腺ホルモン不足が様々な障害をもたらす可能性がある(うつ、認知障害、冠動脈疾患の進展、妊娠経過への影響など)ため、T4補充療法は有益である。
妊娠においては、甲状腺機能低下症が妊娠継続、児の発育に障害をもたらす可能性があることから、速やかに治療を開始する。
当初は1-2カ月に1度TSH測定、血中TSHを基準値内に維持するように補充量を調節する。
85歳以上の高齢者は、NTI(non thyroidal illness)や生理的変動の可能性を考え、慎重に治療する(基本的には治療しない)。