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アジアにおける糖尿病

Diabetes in Asia.

Ramachandran A, Ma RC, Snehalatha C.

Lancet. 2010 Jan 30;375(9712):408-18.

【総説内容】
日本を除くアジア諸国における糖尿病の現状について概説する。
アジアは糖尿病が急増する主要な地域であるが、2030年までにインドと中国が糖尿病罹患者の最も多い2国になると考えられている(インド:7940万人、中国:4230万人)。2025年までに世界人口は79億人になると考えられており、その50%を6か国が占め、3か国がアジア(インド、中国、パキスタン)である。2003年には、世界の糖尿病人口は1億9400万人(5.1%)、耐糖能異常が3億1400万人(8.2%)であり、そのうち大体80%が途上国(主にインド、中国)で、さらにこの先20年で大きく増加するものと考えられている。この増加にはアジアの急速な経済成長がひとつの重要な要因になっている。

アジア人は多民族であり、2型糖尿病の原因も多様であると考えられる。アジア人は他の人種よりインスリン抵抗性が強いという報告があり、β細胞機能低下が早く起きる可能性がある。また、アジア人に特有な感受性遺伝子(KCNQ1など)とアジア人・白人に共通の遺伝子変異(FTOなど)がある。

糖尿病の年齢であるが、インド人では糖尿病罹患率は60歳台に多く、中国では70-89歳に多いといったように差がある。アジア諸国の糖尿病の特徴は、若年発症の糖尿病が急速に増加しているということである。これは食生活の変化、運動量の低下、仕事時間の延長、睡眠の減少によると考えられている。小児の糖尿病も急増しており、肥満が増加するにつれて(香港では12-13歳の8-10%が肥満である)さらにこの傾向は進行するものと思われる。

インスリン抵抗性、高インスリン血症はアジア人、特に東南アジア人で多く見られる。インド人では肥満に関わらず高レプチン、低アディポネクチン血症が見られ、肥満によってこれらが悪化する。アジア人は他の人種よりBMIが少ないが、BMIと健康リスクの関連も少ない(BMIが低くても糖尿病・心血管障害のリスクが大きい)。アメリカに移住した南アジア人は、白人と違って内臓肥満がなくてもインスリン抵抗性が見られる。アジア人はアディポネクチン値が低く、2型糖尿病と心血管障害のリスクが大きい。アメリカに移住した南アジア人女性も同じ傾向を示す。

アジア人糖尿病患者は若年発症が増えてきたため、合併症のリスクが高くなっている。北アメリカでは、糖尿病性末期腎症はアジア人の方が白人より80%も多いが、膝下切断は60-69%少なく、心血管障害は24-33%少ないとされる。このように末梢血管障害は少ないとされているが、神経障害の頻度は高く足感染のリスクは大きい。
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by md345797 | 2011-02-02 19:31 | 症例検討/臨床総説