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インスリンによる脂肪分解抑制は、オートクリン機構による乳酸とその受容体GPR81を介する

An autocrine lactate loop mediates insulin-dependent inhibition of lipolysis through GPR81.

Ahmed K, Tunaru S, Tang C, Muller M, Gille A, Sassmann A, Hanson J, Offermanns S.

Cell Metab. 2010 Apr 7;11(4):311-9.


【背景】
脂肪組織は体内最大のエネルギーリザーバーである。摂食後、エネルギーはTGとして蓄積され、エネルギー必要時にはTGは加水分解されNEFAとして血中に放出される。この過程はヒトでは、カテコラミン、ナトリウム利尿ペプチド、インスリンによって厳格に制御されている。

カテコラミン(アドレナリン、ノルアドレナリン)がβアドレナリン受容体に結合すると、AC(adenylyl cyclase)が活性化され細胞内cAMPが増加する。これによりPKAが活性化され、PKAによりperilipinとHSLがリン酸化され、TGの加水分解が進行する。

インスリンは主要な抗脂肪分解ホルモン(antilipolitic hormone)であり、PDE3Bを活性化、これがcAMPを不活性な5’AMPに加水分解し、PKAによるHSLのリン酸化を低下させる。これにより、脂肪分解が抑制される。

【論文内容】
GPR81はorphan G protein-coupled receptorであり、本研究では乳酸がこの受容体の内因性リガンドであることを見出した。乳酸は脂肪分解を抑制することが知られていたので、GPR81欠損マウスでは乳酸を注入しても脂肪分解が起こらないことを確認した。このマウスでは、運動によって乳酸が増加しても脂肪分解がWTと変わらなかったことから、GPR81は運動中の脂肪分解抑制には関与していないと言える。一方、GPR81欠損マウスでは、インスリンによる脂肪分解抑制(insulin-dependent antilipolysis)が低下しており、in vitroのWATでも同様であった。

【結論】
インスリンは脂肪細胞のグルコース取り込みを増加させ、脂肪細胞内でグルコースがピルビン酸を経て乳酸に変換され細胞外に放出される。これがautocrine/paracrine的に脂肪細胞表面の乳酸受容体GPR81に作用し、Giを介してACを不活性化、細胞内cAMPを低下させ、脂肪分解を抑制すると考えられる。
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by md345797 | 2011-02-07 16:44 | エネルギー代謝