Cafeteria Diet Is a Robust Model of Human Metabolic Syndrome With Liver and Adipose Inflammation: Comparison to High-Fat Diet.
Sampey BP, Vanhoose AM, Winfield HM, Freemerman AJ, Muehlbauer MJ, Fueger PT, Newgard CB, Makowski L.
Obesity (Silver Spring). 2011 Feb 17. Online publication.
【まとめ】
げっ歯類で用いられているヒトの肥満のモデルのうち、伝統的に用いられてきたラードを基本とした高脂肪食(HFD)と、カフェテリア食(CAF: 高食塩、高脂肪、低線維、高エネルギー食で、クッキー、チップ、加工肉などを指す)との比較は今までに行われていない。CAFとHFDと正常食をラットに投与して比較したところ、体重増加、GTT、ITTによる耐糖能異常、インスリン抵抗性、脂肪組織・肝臓の炎症(マクロファージ浸潤)はいずれもCAFを投与した群で大きかった。CAFはヒトのメタボリックシンドロームを検討する上で、HFDと比較して有用なモデルであるといえる。
【論文内容】
カフェテリア食(CAF)は、高度に口当たりのいい(highly palatable)、高エネルギー食で、クッキー、シリアル、加工肉、チーズ、クラッカーなどを標準食(SC)と一緒に自由摂食させるもので、ヒトの西洋の食事のモデル・快楽摂食(hedonic feeding)のモデルとして用いられる。しかし、現在までにCAFと他の摂食肥満(DIO)モデルとの適切な比較はなされていなかった。今回、WisterラットにSC、LFD(カロリーの10%がラードと大豆油による脂肪の低脂肪食)、HFD(カロリーの45%が脂肪の高脂肪食)、CAF(SC+3種類のヒトのスナック類)を摂食させ、それぞれの効果を検討した。
CAF食群は他の3群に比べ、摂食量(カロリー)が多く、体重増加も多かった。また、GTTで有意に高血糖を示し、ITTでインスリン抵抗性(有意でなかったが)を示した。さらに、脂肪重量(WAT、BATとも)と血漿NEFAが有意に高値であった。
メタボリックシンドロームを伴う肥満のヒトでは、脂肪組織における低レベルの慢性炎症、マクロファージ浸潤が認められる。脂肪組織の周囲にマクロファージが浸潤している箇所であるcrown-like structureは、HFD、CAFでSCに比べ有意に増加していた。また、HFD、CAFでは肝脂肪沈着およびマクロファージによるinflammatory lociがSCに比べ多く認められた。CAFの膵島はHFDに比べてもさらに増大しており、構造が変化していた。
【結論】CAFは、ラードを基本としたHFDよりもより確実な(more robust)ヒトのメタボリックシンドロームのモデルとなる食事である。体重増加が早期から始まり、肥満、多臓器機能障害、脂肪・肝での炎症をきたすなどのことから、ヒトの現代病としての肥満のモデルとして最も有用といえる。