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体重減少、運動またはその両方が肥満高齢者の身体機能に及ぼす影響

Weight Loss, Exercise, or Both and Physical Function in Obese Older Adults.

Villareal DT, Chode S, Parimi N, Sinacore DR, Hilton T, Armamento-Villareal R, Napoli N, Qualls C, Shah K.

N Engl J Med 2011 March 31; 364:1218-1229.


【論文内容】
米国では65歳以上の約20%が肥満であり、その割合は増加しつつある。肥満は高齢者の身体障害の重要な原因であるが、体重減少を目標とした介入の有効性やリスクに関してはエビデンスがほとんどない。このグループは、短期的な予備研究で、体重減少と運動が高齢者の身体機能を改善することを示したが、今回はランダム化試験によってこのことを検討した。

107名のボランティア被験者をランダム化し、「コントロール」「食事」「運動」「食事-運動」の4群に割り付け(各群のBMIはいずれも37程度)、1年間それぞれの介入を行った。その結果、主要転帰であるPhysical Performance Testの平均スコアは、「食事」「運動」群がコントロールに比べ、また「食事-運動」群が「食事」と「運動」群に比べ、有意に高値であった。二次転帰である最大酸素消費も、身体機能を表すFunctional Status Questionaireも「食事-運動」群で有意に増加していた。

体重は、「食事」群で10%、「食事-運動」群で9%低下していたが、「運動」群はコントロールに比べ有意に低下していなかった。Lean body massと股関節骨密度は「食事-運動」群は、「食事」群に比べて有意に減少が少なかった。身体強度、バランス、歩行も「食事-運動」群で有意に改善していた。有害事象は、運動に伴う筋肉・骨の障害が少数認められただけであった。

【結論】
以上の結果から、食事療法による体重減少および運動療法は、単独でも肥満高齢者の身体機能を改善するが、これら両方を行うとどちらか一方のみ行った場合に比較して、肥満高齢者の身体機能をより大きく改善する。
by md345797 | 2011-03-31 18:51 | 大規模臨床試験