人気ブログランキング | 話題のタグを見る

一人抄読会

syodokukai.exblog.jp
ブログトップ

脂肪組織リモデリングと肥満

Adipose tissue remodeling and obesity.

Sun K, Kusminski CM, Scherer PE.

J Clin Invest. 2011 Jun 1;121(6):2094-101.

【総説内容】
2003年に、脂肪組織の肥大に伴う生理的な現象として、マクロファージの浸潤が報告され、その後も肥満によるインスリン抵抗性にマクロファージによって引き起こされた炎症が関与するとする報告が相次いだ。マウスだけでなく、肥満のヒトの内臓脂肪でも脂肪組織マクロファージ(ATMΦ)に伴う炎症が見られ、体重減少によって回復することが示された。

脂肪組織へのマクロファージ浸潤の開始は、次の4つのメカニズムによって起こる。
①脂肪細胞の死:肥大によってnecrosisを起こした脂肪細胞の周りにATMΦがcrown-like structures(CLSs)を形成して蓄積する。
②Chemokineによる調節:chemokineは炎症性の小分子であり、マクロファージを骨髄から誘導する。肥満マウスでは、MCP-1などの発現増加が認められている。
③低酸素:脂肪細胞の肥大は局所の低酸素状態を引き起こす。低酸素により、HIF-1によって調節をうけMIF、MMP2/9、IL-6、Angptl4などの発現が増加する。
④脂肪酸の流れ:脂肪組織からFFAが放出され、TLR4を受容体として炎症反応を惹起する。

ATMΦは2つのタイプに分かれる。すなわち、炎症性の「classically activated」M1 form(F4/80, CD11c,TNF-α,IL-6などを発現)と、抗炎症作用のある「alternatively activated」M2 form(F4/80,CD301,IL-10などを発現)である。病的な肥満の状態では、M1マクロファージが増加、M2が低下する。

脂肪組織の増大には、hypertropy(=脂肪細胞の大きさの増加)とhyperplasia(=脂肪細胞の数の増加)がある。

血管新生は、腫瘍の増大や転移において重要な役割を果たしている。健康な成人ではほとんどの組織が増殖することはないのに対し、脂肪組織だけは生涯を通じて増大しうる。新生した脂肪組織は血管新生が豊富である。VEGF-Aは唯一の血管内皮細胞の成長因子であり、血管新生に必要である。VEGF受容体(VEGF-R2)をブロックすると脂肪組織の増加を抑制できる。

脂肪細胞はECM(細胞外マトリックス)に囲まれている。ECMは脂肪組織の機械的な支持を担うだけでなく、正常時・肥満時の脂肪組織のリモデリングの調節も行っている。ECMは、MMPs(matrix metalloproteinases)による調節を受けている。MMP-14は脂肪組織の分化に直接影響しており、MMP-14を欠損させると脂肪組織形成が障害され、lipodystrophyを起こす。
脂肪組織リモデリングと肥満_d0194774_17465099.jpg

by md345797 | 2011-06-08 17:48 | エネルギー代謝