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Decorinのアイソフォームは、脂肪前駆細胞の表面にあるレジスチン受容体である

An Isoform of Decorin Is a Resistin Receptor on the Surface of Adipose Progenitor Cells.

Daquinag AC, Zhang Y, Amaya-Manzanares F, Simmons PJ, Kolonin MG.

Cell Stem Cell. 2011 Jun 15. published online.

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21683670

【まとめ】
脂肪間質細胞(ASCs: adipocyte stromal cells)は、白色脂肪組織(WAT)における間葉系前駆細胞(mesenchymal progenitors)の働きがある。In vivoでマウスASCsに結合するペプチドを検索するため、phage display technologyとFACS(fluorescence-activated cell sorting)を統合した方法によって、ペプチドライブラリーをスクリーニングした。その結果、CSWKYWFGECというペプチドが特異的にASCsに結合することが分かり、その細胞表面受容体として、decorin(DCN)のいままで報告されていなかった切断産物(cleavage product)が同定された(これは、DCNのグリカン化される部分が欠損しているのでΔDCNと名付けた)。さらにΔDCNの結合蛋白のスクリーニングにより、ΔDCNには、今まで受容体が知られていなかったレジスチンが結合することが明らかになった。ΔDCNを3T3-L1細胞に発現させると、レジスチン依存的に、細胞の増殖・移動が促進されたが、脂肪蓄積は抑制された。これらのことから、ΔDCNは脂肪前駆細胞においてレジスチンの受容体として機能しており、WATの増加を調節していると考えられる。

【論文内容】
ランダムペプチドライブラリーをスクリーニングすることによって、ASCsに結合するペプチドWAT7(CSWKYWFGEC)を同定した。マウスにこのペプチドを含むphageを静注し、このペプチドがWATの間質・血管構造に in vivoで結合(homing)することを確認した。

マウスWATの間質血管分画(SVF)から膜蛋白を抽出し、WAT7ペプチドに結合する約40kDaの蛋白を同定した。Mass spectrometric analysisにより、この蛋白はdecorin (DCN:別名proteoglycan Ⅱ)のアイソフォームであることが分かり、グリカン化される部分が切断(cleavage)され欠損しているため、ΔDCNと名付けた。これはDCNの今まで知られていなかった切断産物である。ΔDCNがWAT7ペプチドの受容体として機能するには、ASCsの膜表面に発現している必要があるが、マウスSVFの膜表面蛋白からΔDCNを単離することができ、ΔDCNが細胞膜表面蛋白であることが示された。

さらに、affinity chromatographyを用いてWATからΔDCNのリガンドを単離したところ、リガンドはレジスチンであった。次に3T3-L1細胞にlentivirusを用いてΔDCNまたは全長DCNを発現させると、ΔDCNを発現させた細胞では細胞増殖・移動が増加した。3T3-L1細胞の分化を誘導したところ、脂肪分化(大きい脂肪滴の形成)がΔDCNを発現させた細胞では抑制された。以上の実験では培養液中のウシ血清のレジスチンが作用しており、ΔDCNのみの作用を増強していると考えられる。ここにマウスレジスチンを加えると、さらにΔDCNの作用が増強され、脂肪分化がより抑制された。

【結論】
レジスチンとその受容体(ΔDCN)は、脂肪組織の間葉系前駆細胞のマーカーとなることが明らかになった。これにより、レジスチンが脂肪組織の増加を調節する機構が解明されると思われる。
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by md345797 | 2011-07-01 20:46 | シグナル伝達機構