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PodocyteのmTORC1活性化は、マウスにおいて糖尿病腎症発症に重要である

mTORC1 activation in podocytes is a critical step in the development of diabetic nephropathy in mice.

Inoki K, Mori H, Wang J, Suzuki T, Hong S, Yoshida S, Blattner SM, Ikenoue T, Rüegg MA, Hall MN, Kwiatkowski DJ, Rastaldi MP, Huber TB, Kretzler M, Holzman LB, Wiggins RC, Guan KL.

J Clin Invest. 2011 Jun 1;121(6):2181-96.

【まとめ】
糖尿病腎症(Diabetic nephropathy:DN) ではpodocyte(足細胞・糸球体上皮細胞)の機能不全が蛋白尿・糸球体硬化の発症に重要と考えられているが、そのメカニズムは明らかではない。この研究では、糖尿病マウスにおいてpodocyteのmTORC1活性が増加していることを明らかにした。PodocyteでmTORC1活性化を起こす、podocyte特異的Tsc欠損マウス (PcKOTsc1:Tsc1はmTORC1の上流のnegative regulator)を作製したところ、podocyteの消失、糸球体基底膜の肥厚、メサンギウム細胞の増殖、蛋白尿など、DNで見られる形質が認められた。mTORC1の異常な活性化はスリット膜蛋白(slit diaphragm protein)の局在異常を起こし、podocyteにおけるERストレス亢進を伴う上皮間葉転換(epithelial-mesenchymal transition)様の形質転換を引き起こす。逆に、PcKOTsc1マウスで化学シャペロンによってERストレスを軽減すると、podocyteの形質転換、podocyteの消失が抑制される。最後に、糖尿病マウスにおいてpodocyte特異的にmTORC1を欠損させると、DNの発症が抑制される。これらの結果から、podocyteにおけるmTORC1の活性化はDN発症に重要であり、podocyteのmTORC1活性抑制がDN予防の治療につながると考えられる。
by md345797 | 2011-07-08 08:00 | 糖尿病合併症