Safety and efficacy of dalcetrapib on atherosclerotic disease using novel non-invasive multimodality imaging (dal-PLAQUE): a randomised clinical trial.
Fayad ZA, Mani V, Woodward M, Kallend D, Abt M, Burgess T, Fuster V, Ballantyne CM, Stein EA, Tardif JC, Rudd JH, Farkouh ME, Tawakol A; for the dal-PLAQUE Investigators.
Lancet. 2011 Oct 29, 378, 1547-1559.
【まとめ】
CETPを調節してHDL-Cを上昇させる薬剤であるdalcetrapibを用いて、非侵襲的集学的イメージングに関する初めての多施設研究を行った。今回のPhase 2b試験では、冠動脈心疾患の、またはそのハイリスクのある合計130名の患者をdalcetrapib群とプラセボ群にランダムに割り付けた。エンドポイントは、24か月後のMRIによる指標(総血管面積、血管壁厚)、6か月後のPET/CTによる評価(左右頸動脈および下降胸部大動脈の炎症)を用いた。MRIによる総血管面積および、PET/CTによる頸動脈の炎症は、はdalcetrapib群で低下していた。Dalcetrapib群では血圧の上昇はなく、他の有害事象もプラセボ群と同様であった。Dalcetrapibは24か月の検討で、動脈壁に病的な影響をもたらさず、総血管拡張の低下など血管に有効な効果をもたらした。今後、dalcetrapibの長期的な安全性と効果が評価されるべきである。
【論文内容】
CETPに対する薬剤はHDL-Cを上昇させるのに有効であるが、以前検討されたCETP阻害薬であるtorcetrapibは血圧増加・血管炎症の亢進によって死亡率の増加が見られた。Dalcetrapib はCETP活性を調節する新たな薬剤でHDL-Cを増加させる。しかし、現在までヒトでの動脈硬化に直接影響するかは不明であった。
MRIおよびPET/CTは血管の形態および炎症を評価するのに有用な技術である。本研究(dal-PLAQUE)において、MRIにより動脈硬化進展や退消といった形態を評価し、PET/CTによって18F-FDGの取り込みによって血管の炎症を評価することが今回の研究の目的である。
130名の24か月追跡したところ、dalcetrapib群でHDL-Cが31%増加、apoA1が10%増加した。また、高感度CRPが33%増加していた。MRIにてdalcetrapib群で総血管面積が少なく、PET/CTにて6か月目の頸動脈の炎症も少なかった。血管拡張(動脈硬化によるりモデリングを表す)はプラセボ群の方が多かった。
非侵襲的集学的イメージングによってdalcetrapib群とプラセボ群を比較したところ、前者で病理学的所見は認めなかった。現在dalcetrapibに関する2つの臨床試験が進行中である。一つはdal-PLAQUE2で動脈硬化を冠動脈IVUSで調べるもの、もう一つはdal-OUTCOMESで心血管疾患の死亡率をによって長期の安全性と効果を検討するものである。