Inflammation and ER Stress in Obesity and Diabetes
Gökhan S. Hotamisligil, Harvard University, USA
Keystone Symposia:Pathogenesis of Diabetes Jan 30, 2012, Santa Fe.
脂肪組織における慢性・低レベルの炎症は代謝疾患の特徴となっており、このグループはそれを「metaflammation」と呼んでいる。それらのうち、小胞体(ER)の機能低下が肥満、インスリン抵抗性、糖尿病に関与していることを示してきた。最近はpathogen sensing kinaseであり、eIF2aの上流で作用する
protein kinase R(PKR)が、metaflammationに関与することを明らかにした。過剰の栄養素とERストレスはPKRを活性化することにより、JNK活性化を介してインスリン作用を障害する。
高脂肪食および遺伝的肥満モデルマウスにおいてPKRを欠損させると、体重に変化を与えることなく、JNK活性が低下しインスリン感受性が亢進する。これらの肥満マウスのPKR活性を低分子阻害剤で抑制すると、インスリン感受性が亢進した。ob/ob-PKR欠損マウスでは、体重に変化なく肥満によるeIF2aリン酸化が有意に減少しており、PKRが肝における代謝ストレスの蛋白翻訳を調節する主要な因子であることが示された。肝においてPKRと複合体を形成する蛋白を同定したところ、RNA-induced silencing complexの構成要素であることが明らかになり、これがERストレスや炎症時に蛋白翻訳を阻害するmicroRNAを生成するのに重要であることが示された。PKRは代謝ストレスを炎症反応につなぐ重要なセンサーであり、その複合体は、metaflamasome(metabolic inflammasome)を形成していると考えられた。