一人抄読会

syodokukai.exblog.jp
ブログトップ

2011年 04月 02日 ( 1 )

非定型的神経性食欲不振症を伴った副腎クリーゼの若年男性

Addisonian crisis in a young man with atypical anorexia nervosa.

Allolio B, Lang K, Hahner S; Medscape.

Nat Rev Endocrinol. 2011 Feb;7(2):115-21.

【症例】
22歳男性が高度の低Na血症(109 mmol/l)、低血圧、傾眠のためICUに入院した。9か月前から体重減少と嘔吐があり、非定型神経性食欲不振症と診断され精神科外来に通院していた。身体所見では、全身の色素沈着亢進、脱水が認められ、検査結果では、ACTHの上昇、コルチゾールの低下、レニンの増加、アルドステロンの低下を確認した。副腎のsteroid 21-hydroxylase抗体が異常高値を示し、極長鎖脂肪酸、甲状腺機能は正常であった。副腎以外に自己免疫疾患は認めず、APS (autoimmune polyglandular syndrome)の家族歴もなかった。

以上より、「単独自己免疫性副腎炎による原発性副腎不全」と診断され、ホルモン補充療法(ハイドロコルチゾン 20mg 分2とフルドロコルチゾン0.1mg 分1)を行った。

その18ヶ月後、発熱時にハイドロコルチゾンを増加させなかったために、副腎クリーゼ(adrenal crisis / Addisonian crisis)を起こし再入院となった。直ちにハイドロコルチゾン静脈投与と生理食塩水投与を行いクリーゼから回復したため、クリーゼの際の注意点を再度教育して退院となった。

【診断と疫学】
Addison病の症状は、活力の低下と疲労、食欲不振、体重減少、悪心、嘔吐、起立性低血圧によるめまい、皮膚の乾燥、性欲低下、皮膚の色素沈着などである。色素沈着は、ACTHの分泌亢進が起きる際にMSH(melanocyte-stimulating hormone)が増加することによって起きる。またミネラルコルチコイド作用不足によって、低Na血症が起きる点が見逃されがちである。低Na血症に伴い、ADH(arginine vasopressin)分泌が(相対的に)過剰となり、SIADHをきたす。原発性副腎不全のホルモン検査では、ACTHの増加(>40pmol/l)、コルチゾールの低下(<100nmol/l)があり、合成ACTH1-24を250μg投与した際の30、60分後のコルチゾール増加(正常では500nmol/l)が見られないことを確認する。同様に、血漿レニン活性の増加と血清アルドステロンの低下を確認する。

Addison病の80-90%は、自己免疫性副腎炎(autoimmune adrenalitis)による。副腎steroid 21-hydroxylaseに対する抗体が認められる。自己免疫性副腎炎のうち40%は単独型(isolated)だが、それ以外はAPSである。また、結核による原発性副腎不全もいまだに認められる。

【治療と管理】
長期ホルモン補充療法(Chronic replacement therapy)
グルココルチコイド補充には、ハイドロコルチゾン(注:コートリル®10mg)を15-30mg/日、分2-3(朝に多く)服用。十分に補充されているかは、主に臨床症状で判断する。すなわち、過量(over-replacement)であれば、体重増加、不眠、浮腫があり、不足(under-replacement)であれば体重減少、悪心、筋肉痛、易疲労感がある。ミネラルコルチコイド補充には、フルドロコルチゾン(フロリネフ®0.1mg)を朝1回0.05-0.20mg投与する。血圧、Na、Kが正常であるかを確認。男性ホルモンとして、DHEA(デヒドロエピアンドロステロン)投与も考慮する。

副腎クリ―ゼの管理:
ホルモン測定の結果を待たず、直ちに治療を開始すること。ホルモン補充の遅れが生命の危険につながる。直ちにハイドロコルチゾン(100mgボーラスに加え以後24時間ごとに100-200mgを5%グルコースで静注)と生食(最初の24時間で4l、最初は1時間で1l)静注する。
副腎クリ―ゼの予防:
発熱、外傷、外科手術などのストレス下で、どのようにグルココルチコイド用量を増やすかを患者に説明し、救急カードを持たせておくこと。一般的には感染時にはハイドロコルチゾンの用量を2倍に、外科手術時などには100-150mg/日を投与する。
[PR]
by md345797 | 2011-04-02 17:33 | 症例検討/臨床総説