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2011年 04月 11日 ( 1 )

好酸球は、脂肪細胞のalternatively activated macrophagesを増加させ、糖恒常性を維持している

Eosinophils sustain adipose alternatively activated macrophages associated with glucose homeostasis.

Wu D, Molofsky AB, Liang HE, Ricardo-Gonzalez RR, Jouihan HA, Bando JK, Chawla A, Locksley RM.

Science. 2011 Apr 8;332(6026):243-7.

【まとめ】
好酸球は、しばしばalternatively activated macrophages (AAMs)を伴って、寄生虫免疫やアレルギーに関与する。脂肪組織のAAMsは、IL-4によって誘導され、糖代謝の維持に重要な役割を果たす。この研究では、白色脂肪組織の中で、好酸球はIL-4を発現する主要な細胞であり、好酸球がないとAAMsは大きく減少することを示した。 好酸球はインテグリン依存性の過程により脂肪組織に遊走し、IL-4、IL-13を介してAAMsを再構成する。高脂肪食を負荷したマウスは、好酸球がないと体脂肪が増加し、耐糖能・インスリン抵抗性が悪化する。寄生虫による生理的な脂肪組織の好酸球増多は、耐糖能を改善する。これらの結果から、好酸球は、脂肪組織のAAMsを維持することにより、糖代謝に重要な役割を果たしている。

【論文内容】
脂肪組織マクロファージは慢性炎症を起こし、インスリン抵抗性や肥満に関与している。肥満マウスから採取した脂肪組織マクロファージはclassically activated inflammatory phenotype(M1:活性型・炎症性変化を促進)を示すのに対し、正常マウスではalternatively activated phenotype(M2:非活性型・炎症性変化を抑制)を示す。Alternatively activated macrophage (AAMs)は、IL-4、IL-13によって誘導されるが、生体でIL-4、IL-13がどこの由来かは明らかではない。

そこで、4getマウス(IL-4産生細胞をeGFP発現でモニターできるマウス)で脂肪組織のIL-4産生細胞の構成を調べたところ、90%が好酸球であった。さらに、好酸球マーカー(Siglec-F)を用いて、好酸球が欠損しているマウス(ΔdblGATAマウス)、好酸球が正常の100倍程度増加しているマウス(IL-5tg: 好酸球増加を刺激するIL-5のトランスジェニックマウス)の、脂肪組織の好酸球欠損と増加を確認した。また、高脂肪食負荷マウスやob/obマウスの脂肪組織では好酸球が減少しており、好酸球数はマウスの体重に逆相関することが分かった。

生体で好酸球が脂肪組織に遊走してくることを検討するため、IL-5tg x 4getマウスの好酸球を好酸球欠損マウスに移す実験を行った。その結果、好酸球は脂肪組織にインテグリン(α4、αL integrins)を介して移行することが分かった。

また、YARG mice、すなわちArg-1(AAMで発現が増加するシグネチャー遺伝子)にYFP(yellow fluorescent protein)を組み込むことによってAAMsをin vivo で同定できるマウスを用いて、脂肪組織のマクロファージは、IL-4とIL-13欠損マウスまたは好酸球欠損マウスでは、alternative activationされないことを確認した。

好酸球増加マウス(IL-5tgマウス)の内臓脂肪(精巣周囲脂肪)は、WTに比べて明らかに小さく、GTTにおける耐糖能も改善していた。好酸球欠損マウスは、高脂肪食負荷するとWTよりも脂肪が増加しやすかった。すなわち、好酸球には高脂肪食による肥満(diet-induced obesity)を起こしにくくする働きがある。好酸球欠損マウスはWTに比べ耐糖能が悪化し、空腹時血糖も上昇、脂肪組織のインスリン反応性(Aktのリン酸化)が低下していた。

さらに、生理的な好酸球増加によって高脂肪食による耐糖能障害が改善するかを調べるため、高脂肪食負荷マウスにNippostrongylus brasiliensis (ブラジル鉤虫) を感染させた。寄生虫は8日で消失したが、その後の空腹時血糖低下、インスリン抵抗性改善、耐糖能改善は35日後まで持続した(脂肪組織の好酸球増加は45日後まで持続)。

【結論】
脂肪組織の好酸球(IL-5によって増加する)は、脂肪組織においてIL-4産生を介してAAMsを維持している。これにより、インスリン抵抗性、肥満が改善される。寄生虫による生理的な好酸球増加でもインスリン抵抗性・耐糖能が改善することが示された。これらの結果は、代謝と免疫の密接な関連(intertwined relationship between metabolism and immunity)を支持するものである。脂肪組織の好酸球の数や機能を調節することによって、ヒトの代謝疾患の新しい治療法が得られる可能性も出てきた。
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by md345797 | 2011-04-11 00:04 | インスリン抵抗性